トランプ米大統領が就任演説で、米国政府が認める性別は「男性と女性だけだ」と発言、多様性・公平性・包括性(DEI)に関する政策を終わらせる、とも宣言した。既に追随する米大手企業もみられ、米国内外でLGBTQなど性的少数者の権利擁護の流れが逆行する可能性も。ただ日本企業は今のところ静観の構えで、関係者らは「後退に歯止めをかけたい」と意気込む。
「トランプ氏なら予想できた発言内容だが、国内外への影響は大きい。これから4年間、性的少数者の当事者は生きづらい思いをするかもしれない」。追手門学院大の三成美保教授(ジェンダー法学)は懸念を示す。
ジェンダー平等推進の流れ自体は「長い歴史で見れば間違いなく進む」とする一方で「少なくともこれからの4年間は逆行するだろう」と指摘。DEIを積極的に進めてきた企業の動きが止まってしまえば「推進力が著しく落ちる恐れがある」と述べた。
実際、米国のマクドナルドは多様性確保に向けた企業としての目標を廃止すると表明。大手企業でこうした動きが顕在化し、波紋を広げている。