女性として生活する既婚のトランスジェンダー当事者が、戸籍上の性別を男性から女性に変更するよう京都家裁に求めた家事審判で、裁判官から直接聞き取りを受ける審尋が21日、行われた。終了後、申立人は妻と京都市で記者会見し「私たちが離婚したくないこと、家族が性別だけで成り立っているのではないことは伝わったと思う」と話した。
代理人弁護士は、年度内には決定が出るとの見通しを示した。
審尋は午後3時から約1時間、非公開で行われた。裁判官3人から生活実態や困り事を聞かれた。裁判官から「今回の申し立てが認められなかったら」と問われ、妻は「申立人が生きることに重く苦しくなるなら離婚も考えるが、幸せになる道ではない。その選択を迫られることが苦痛だ」と答えたという。
申立人は会見で「婚姻を続けるのかやめるのかは、国ではなく自分たちで決めることだと伝えた」と話した。
申立人は2015年に結婚後、外見も法律上の名前も女性に変えたが、身分証明の際にカミングアウトを強いられ精神的苦痛を受けてきた。