総合防災設備メーカー大手「能美防災」は大正時代の1916年に創業者能美輝一が大阪市で能美商会を立ち上げたのが始まりだ。(共同通信=増井杏菜記者)
1923年関東大震災が発生。火災で多くの命が失われたことを踏まえ、火災自体を防ぐ研究を開始。翌年以降、英国式の自動火災報知機の導入など防災事業を本格化させた。
京都の文化財に火災報知設備を設置し、その後に起きた出火から国宝を守った。大型船舶などの警報や消火設備も提供。防災への関心を高めてもらおうと「創業者は国や行政を何度も訪問するなどして防火の重要性を訴え続けました」(広報)。
1948年、創業者の悲願だったスプリンクラーの設置などが義務化された消防法が施行。さまざまな建物や一般住宅へ広がる契機となった。高層の霞が関ビルや青函トンネル、成田空港など施設に応じた設備を次々と生み出し、1989年に現社名に変更。
近年ではカメラで煙を検知する技術を活用した設備や住宅用の小型火災警報器も販売。防災教育に力を入れ、火災や地震を仮想現実(VR)体験できるコンテンツを学校や企業へ提供している。