金の価格高騰や訪日旅行者数の回復を背景に、新型コロナウイルス禍で減っていた金の密輸摘発が急増している。海外の犯罪グループが「闇バイト」のような手法を使い現地で運び屋を集めるケースも。金を粉状にして小分けし、衣服の下に隠すなど手口も巧妙化しており、税関は水際対策を強化している。
昨年9月、羽田空港に香港から中国籍の男女2人が到着した。東京税関羽田税関支署の職員が調べると、着用していたかつらに隠していたのは粉末状にした金計約2.6キロ。税関の調べに女性は「金を日本に持ち込めばもうかると聞いた」と説明した。
東京税関調査部の真鍋聡秀次長によると、交流サイト(SNS)を通じて密輸グループに集められる小遣い目当ての実行役も多いとみられる。金自体は違法なものではないため「麻薬などと比べ、犯罪に加担している意識を持ちにくく手を染めやすい」とする。
金は関税法などに基づき、輸入する際に税関で消費税相当額を納める必要がある。これを密輸で免れた上で国内で販売すれば、消費税分が利益として手に入る。