農林水産省は31日、政府備蓄米の放出に向けた新制度の概要を発表した。価格高騰が続く中、大凶作などに限っていた方針から転換する。1年以内に同量を買い戻すことを条件とし、全国農業協同組合連合会(JA全農)などの集荷業者へ売り渡す運用を想定。民間在庫を正確に把握するため、調査対象を農家や小規模な卸売業者などにも広げる考えだ。
農水省が備蓄米運用を定めた基本指針の変更案を同省関連部会に示した。著しい不作といった従来の基準に加え「円滑な流通に支障が生じる場合」にも放出を認める。売り渡し価格や数量などの詳細は今後検討する。実施されれば、供給量が増え価格低下につながる可能性がある。
方針転換の背景には、昨夏以降に激化した集荷競争がある。2024年産米の収穫量は前年から18万トン増えたが、主要な集荷業者の昨年11月末時点の集荷量は17万トン減った。コメの先高観を見越した小規模業者や農家が、在庫を抱え込んでいるためとみられる。