医療費が高くなった患者の自己負担を一定に抑える「高額療養費制度」の上限額を引き上げる政府方針を巡り、がん患者団体がアンケートの結果をまとめた。「重い病気の時に負担を大きくするのは残酷」。闘病中の患者や家族から、家計が逼迫して治療の継続を諦めざるを得なくなると不安を訴え、反対する声が相次いだ。野党も国会審議で追及する姿勢。厚生労働省が対応を検討する。
全国がん患者団体連合会が1月17~19日にオンラインで実施。3623人が答えた。天野慎介理事長は記者会見で「長期にわたって治療を受ける患者や世帯の影響は甚大だ」と見直しを求めた。
幅広い世代から「命を諦める患者が増える」「命に関わる」といった意見が寄せられた。子育て中の現役世代の声も。小学生と未就学の子どもがいるという30代男性患者は「休職し今の上限額でもかなりきつい。引き上げで治療を断念する可能性もある」。30代女性患者は「子どもが小さく治療を続けたい。仕事、治療、家事、育児を頑張っているが現状で精いっぱい。これ以上苦しめないで」とした。