文化庁は4日、文化財を観光振興に活用する「日本遺産」のうち福岡、佐賀両県の「古代日本の『西の都』」の認定を取り消した。2015年度の制度開始以降、取り消しは初めて。自治体など関係団体間の連携がなく、住民らの認知度が低いことなどが理由。一方、新たに「北海道の『心臓』と呼ばれたまち・小樽」を認定した。
日本遺産は104件で変わらない。文化庁は上限を100件程度としており、取り消しで地域を入れ替え、数が膨らむのを防ぐ。25年度以降も必要に応じて入れ替える方針だ。
審査は、文化庁の有識者委員会が地域の体制や人材育成など7項目の観点から総合点を算出。今回は15年度に認定され、21年度の審査で改善が必要とされた「条件付き認定」の4件と新規候補1件が対象だった。
西の都は、集客の多い太宰府天満宮などから周辺に誘導する効果的な手法が地元の計画に十分記載されていない点も指摘され、総合点が最低だった。
ただ一定の水準は満たしているとして、改めて認定を目指す「候補地域」とする。