埼玉県八潮市で県道が陥没しトラックが転落した事故で、県は下水を川へ流す緊急放流を続けている。破損した下水道管から穴へ流入する水を減らすための異例の措置で、簡易調査では一時、水質悪化を示す数値も出た。健康被害は確認されていないものの、前例が乏しい中、県は手探りで対策に取り組んでいる。
事故は1月28日に発生。運転手とみられる男性(74)の救助活動は2月5日も続いているが、穴にたまる水が支障となっている。県は1月29日深夜、同県春日部市のポンプ場から、塩素で消毒した下水を近くの新方川に流し始めた。
県は水質の簡易調査を3カ所で実施。うち放流地点近くでは31日、水質汚濁のレベルを示す数値が、放流直前に比べて一時10倍になった。上流から真水を流して下水を薄める対策を追加で行い、2月1~4日の数値は放流前と同程度か2倍で推移。放流地点より下流の2カ所では、より影響は少ないとの結果が出た。
ただ周辺住民からは「家の中にいてもにおう」「田に水を引いている農家が心配」との声も上がる。