夫の死の真相へ「一歩踏み出せた」―。財務省決裁文書改ざんの関連文書開示訴訟で6日、国の上告断念方針が明らかになった。
「夫が苦しんだ原因が分かるものを開示してほしい」。改ざんを苦に自殺した財務省近畿財務局の元職員赤木俊夫さん=当時(54)=の妻雅子さん(53)は、大阪市内で開いた記者会見で真相解明に期待を寄せた一方、弁護団は黒塗りで開示される可能性もあるとして警戒感をあらわにした。
2023年の開示訴訟一審判決では請求が棄却され、原告席で崩れ落ちたこともあった。一時は落ち込んだが、夫の死の真相を知りたい一心で控訴し、闘い続けてきた。
夫が残した「赤木ファイル」は別の訴訟の中で21年に開示されたが、改ざんの詳しい経緯や指揮系統は明らかにならなかった。「誰が発案し指示したのか。夫がどれだけ反対していたのか。真相を知りたい」
国は今後、文書の存否を明らかにした上で改めて開示、不開示を決める。雅子さんは国に対し開示するよう求めた上で「黒塗りにしないでほしい」と注文を付けた。