財務省が10日発表した2024年の国際収支速報によると、海外とのモノやサービス、投資の取引状況を示す経常収支の黒字額は前年比29.5%増の29兆2615億円だった。比較可能な1985年以降で過去最大となった。歴史的な円安を背景に輸出額が拡大し、貿易収支の赤字幅が縮小した。海外の子会社から得られる配当金なども増加した。
輸出から輸入を差し引いた貿易収支の赤字額は40.0%減の3兆8990億円となった。輸出は4.5%増の104兆8698億円で、自動車のほか半導体の製造装置や電子部品が増えた。輸入は1.8%増の108兆7688億円だった。銅などの非鉄金属が増えたものの、石炭の価格が下落して貿易収支が改善した。
投資に伴う利子や配当のやりとりの動向を示す第1次所得収支は、11.3%増の40兆2072億円だった。金融業や小売り、自動車などで海外子会社からの配当金が増えた。
サービス収支は10.3%減の2兆6162億円の赤字だったが、赤字幅は2996億円縮小した。