1月に記録的な大雪に見舞われた青森県で、全国1位の生産量を誇るリンゴの被害が深刻化している。雪の重みで枝が折れたり、幹が裂けたりするケースが相次いでおり、県は「被害額が100億円を超える懸念がある」と警戒を強める。「冬の間にどれだけ木がやられてしまうのか」。最も雪深くなる2月を迎え、農家は秋の収穫期へ不安を募らせる。
「65年育ててきて、一番の被害だ」。青森市のリンゴ農家工藤由元さん(85)は1月末、畑一面に積もった深さ1メートルほどの雪を前に肩を落とした。約40アールの畑に植えられたリンゴの木は150本ほど。雪の重みで多くの枝が折れ、樹齢50~60年の木は幹から割れて半分になった。
工藤さんはかんじきを履いて畑に入り、被害軽減のため融雪剤をまいたり、枝を支える柱を立てたりしている。しかし、所有する畑5カ所のうち3カ所は農道の除雪が追いつかず、たどり着くことすらできない。
県によると、青森のリンゴは国内生産の6割を占める。2月10日時点で、青森市や弘前市など11市町村で枝折れを確認した。