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滋賀唯一の女子ラグビーチーム「BREEZE」発足10年、優勝目指し

京都新聞 2023年8月30日 12時23分

 湖国唯一の女子ラグビーチーム「BREEZE(ブリーズ)」が今年で発足10年を迎えた。当初はメンバーを集めるのも一苦労だったが、ラグビー人気の高まりに呼応して徐々に裾野が広がり、小学生から大学生・社会人まで約40人が在籍するクラブにまで成長。2年後に地元・滋賀県で開催される国民スポーツ大会での優勝を目指し、関係者らは士気を高めている。

 8月中旬、草津市の三ツ池運動公園グラウンドでは厳しい太陽が照りつける中、女子選手たちの元気な声が響いていた。年代ごとのグループに分かれパス回しやステップで抜く練習に取り組む。激しいぶつかり合いなどはない。うだるような暑さだったが、和気あいあいとした雰囲気で、時には笑顔もこぼれ皆が練習を楽しんでいる様子だった。

 「高校生以上の“トップ”、中学生の“ユース”、小学生の“ジュニア”。三つのカテゴリーを持っているのは全国でも珍しい」と松田満代表。年齢に関係なく関わり合え「大きな家族のような感じです」と説明する。

 チームは県内女子ラグビーの普及と育成を目的に県ラグビー協会が2013年に立ち上げた。県内には幼児や小学生対象のラグビースクールが複数あり、接触プレーを伴わないタグラグビーも盛ん。女子が楕円(だえん)球を追う姿も珍しくはないが、競技性やプレーの強度が高まる中学生以降は受け皿は少なく、県外の学校に進学したりラグビーを辞めたりするケースが多いという。

 ただこの間、女子7人制が16年リオデジャネイロ五輪で正式種目に採用されたことに加え、19年の自国開催のワールドカップ(男子15人制)で日本代表が初のベスト8と大躍進したことでラグビーの知名度が向上。競技人口の減少が続く中、女子選手は増加が続いているという。滋賀学園高ラグビー部時代に唯一の女子部員だった、びわこリハビリテーション専門職大学1年の新名文音さん(19)も「以前はラグビーをやっていると言うと驚かれたが、今は理解してくれる人が増えた」と変化を実感している。

 毎週土曜に天然芝のグラウンドで全体練習がある。練習量は多くないが、地元で競技を続けられる環境は整えられた。画一的な部活動とは異なり、多様なメンバーが「ラグビーを楽しむ場所」として集まる。石山高2年の若林成美さん(16)は自校のラグビー部にも所属しつつ活動。部員が少ないため、週末は他校との合同練習で男子部員に混じって汗を流し、その足でブリーズの練習に向かうこともある。平日はラグビー以外のスポーツに取り組むメンバーも多くいるという。

 松田代表は10年間を振り返り「一定の成果を出すことができた」と手応えを語る一方、地元開催の国スポでの躍進は「県民としての使命」と言い切る。鹿児島県で開かれる特別国体の近畿予選がまもなく始まる。選手代表の関西大3年杉江芽衣奈さん(21)は「国スポで優勝し、女子ラグビーをもっと注目されるスポーツにしたい」と意気込む。

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