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100億円分「環境債」なぜ即日完売に 背景に環境課題の投資広がり

京都新聞 2023年10月25日 6時0分

 温室効果ガス排出量削減の目標達成を約束して投資家から資金調達する滋賀県の「サステナビリティ・リンク・ボンド(環境目標連動債)」に人気が集まっている。昨年度と本年度で発行した計100億円の債券は即日完売し、それぞれ発行額の約3~10倍の投資申し込みが県内外の企業・団体からあった。投資を通して県の環境活動を支援していると顧客らにPRできる点が、企業のニーズに合っているようだ。

 県は、県庁の温室効果ガス排出量を2030年度に14年度比で50%減らす目標を掲げている。連動債は、目標達成できなければ、利子の支払いとは別に、県が発行額の0.1%相当を温暖化対策の県の基金に拠出するとしている。環境課題に対処するための目標や使途をあらかじめ公表して発行する債券の市場は広がっているが、自治体が取り組むのは珍しいという。

 県は昨年5月、初の連動債を10年満期で50億円分発行した。利率は一般的な県債と同じだったが、65の企業・団体から発行額の10倍近くとなる480億円分の申し込みがあった。

 好評を受けて今年9月にも同額を発行した。利率を県債の水準より0.02%低くしたことで、出資企業が受け取れる利子は減るが、それでも62企業・団体から発行額の3倍となる140億円分の申し込みがあった。前回に続いて即日完売となった。

 県の連動債に投資した企業・団体のほぼ半数が関東や東海など県外からといい、県は、掲載を希望した企業・団体を「表明投資家」として県ホームページで社名などを公表している。企業側も、投資を通じて温室効果ガスの削減を資金面でサポートしていると自社サイトなどで積極的に広報発信し、環境問題への関心が国内外で高まる中で企業のイメージ向上につなげようとしている。

 調達した資金の使い道は限定していないが、県財政課は「なるべく環境問題に関わる事業に充当する。投資を通じて県の取り組みについてさらに賛同・共感してもらい、他の企業や団体にも活動の輪を広げていきたい」としている。

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