わが子が不登校やひきこもりになった場合、どのように対応したら良いのか。支援事業を手掛ける「サポートスペースゆまほほ」(京都府精華町)代表の岡田洋之さんが、南丹市八木町の市八木市民センターで講演した。当事者家族としての経験から、ひきこもりの背景や回復までのプロセスを解説し、「親として子を信じ、見守ることが重要」と訴えた。
文部科学省の調査によると、小中学校の不登校の児童生徒は2021年度で計24万人、高校生は5万人前後を推移。19年度の内閣府調査では、15~64歳のひきこもり人口は推定で115万人いるとされ、長期化や高齢化が課題となっている。
岡田さんは、ひきこもり当事者について「物事を正面から受け止める、まじめで優しい傾向がある」と紹介。半面、過度に周囲に気を使ったり、いいかげんなことが許せなかったりする人が多いとし、「誹謗(ひぼう)中傷や仲間はずれ、学校や職場での失敗やつまずきなどの要因が絡み合い、社会から距離を置くようになってしまう」と説明した。
本人も自ら望んでそのような状況になったわけではなく「親への申し訳なさや、自立したいという気持ちを持っていることがほとんどだ」と指摘。一方で、ひきこもりの子を持つ親は、すぐさま原因を探ろうとし、不安や世間体の悪さから、「何を怠けているの」「将来どうするのか」などと、現状を責めるような言葉をかけてしまいがちだという。
その上で、ひきこもりや不登校は「生きづらさから自ら命を絶ってしまう前段階」で、理想と異なる自己への否定や、将来に対する不安に襲われている状態から「自分の命を守る自然な行動の現れ」と分析。親は登校の強要や、動かない子を責めることは決してせず、「自分らしさを模索する時間と捉え、自己肯定感を培う声掛けと、安心できる家庭環境作りを心がけて」と呼び掛けた。
ひきこもりや不登校の人々の居場所づくりに取り組む市民団体「みんなのTERAKOYAおおいがわ」による研修の一環。不登校や自殺が増える夏休み明け前の8月18日に開かれ、地域住民ら10人が聞いた。