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市販薬のオーバードーズ「期待と不安で葛藤」 京都大学などが「ヤフー知恵袋」調査 質問数は急増

京都新聞 2024年2月12日 6時0分

 市販薬を過剰摂取するオーバードーズ(OD)に強い関心を示す人たちは、精神的苦痛から解放される期待と重篤な健康被害への不安で葛藤する傾向がある、とするインターネット掲示板の調査結果を京都大などのグループがまとめた。薬への依存を食い止めるためには、「『予備軍』に着目した適切なサポートが必要だ」としている。

 京大医学研究科の中山健夫教授や大学院生である刈谷梓さん(28)らのグループは、ODに関心はあるが薬を摂取していないか、摂取が少量にとどまっている「予備軍」の人たちの傾向をつかむため、ネット掲示板「ヤフー知恵袋」に2004~18年度に書き込まれた関連の質問を詳しく解析した。

 「予備軍」の人たちの書き込みと推測される578件の質問のうち、求める効果を得るのに必要な薬の種類や服用量、入手手段などODへの「期待」に関連するものは306件あった。一方、体や人間関係への影響に対する「不安」は238件、医療機関の受診などODをやめる上での「悩み」は34件で、「不安」と「悩み」を合わせると272件に上り、「期待」の質問数に迫る多さだった。

 OD関連全般の質問数は、14年度以降は急増していることも分かった。

 刈谷さんは「ODに関する質問は、身近な人にはしにくいと思われる。薬への依存を防ぐには、公的機関による正確な情報発信と相談窓口の整備が必要ではないか」と話している。研究成果は2023年11月に国際学術誌に掲載された。

 

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