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原発避難者集団訴訟、高裁判決は12月に 原告女性「被害者の分断、過酷な状況続く」訴え

京都新聞 2024年5月22日 19時40分

 東京電力福島第1原発事故の影響で福島県などから京都府内に避難した55世帯166人が、国と東電に約8億3900万円の損害賠償を求めた集団訴訟の控訴審が22日、大阪高裁(牧賢二裁判長)で結審した。津波や事故を巡る国と東電の責任を認めた2018年3月の京都地裁判決に対し、原告、被告双方が控訴していた。判決は12月18日に言い渡される。

 6年前の地裁判決は、国が津波到来を予見可能だったと認め、国の避難指示区域外からの自主避難者を含む当時の原告174人中110人に計1億1千万円の賠償を命じた。原告側は、賠償額や対象となる地域、時期が限られたことを不服として控訴。被告側も、事故の予見や回避が不可能だったとして控訴した。

 原告弁護団によると、同種の上告審判決で、最高裁が22年6月に国の責任を否定して以降、同様の高裁判決が全国で続いた。京都地裁で認められた国の責任が再び認定されるかどうかも焦点となっている。

法廷では、福島県や茨城県から避難した5人が最終意見陳述した。茨城県から京都市伏見区に家族で避難した原告の女性(57)は、「被害者同士の分断など過酷な状況は続いている。事故後すぐに国や東電が被害者に寄り添っていれば苦しみを最小限に抑えられた」と述べた。

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