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京都駅前商業施設が「サブカル聖地」へ アニメ・漫画売場拡張で「オンリーワンに」

京都新聞 2024年5月8日 18時0分

 今年で開業40年を迎えた京都駅南口の京都アバンティ(京都市南区)が、アニメや漫画、ゲームといった「サブカルチャー(サブカル)」のファンをターゲットに据えた店舗戦略を強化している。大型書店の閉店で空いたスペースを生かし、アニメ・漫画の専門店の売り場を拡張、展示会場も設けた。イベントも充実させる予定で、店舗関係者は「サブカルの聖地を目指す」と意気込んでいる。

 3月上旬、平日朝にもかかわらず京都アバンティ6階は若い男女でにぎわっていた。お目当ては、同月1日に拡張オープンしたばかりのアニメ・漫画専門店「アニメイトアバンティ京都」だ。来店客たちは、コミックやアニメ専門誌、グッズ、DVDなどが豊富にそろう売り場を巡りながら、熱心に品定めしていた。

 アニメイトの拡張スペースは1月まで、大型書店「アバンティブックセンター京都店」が、アバンティのオープン以来、40年にわたって営業していた。開業以来のテナントを閉めてまで路線転換に踏み切った理由を、京都アバンティの山田秀人館長は「近隣の競合店にはない旗印を立て、生き抜いていくため」と言い切る。

 京都アバンティは過去40年、消費不況や競合店の登場などの逆境に直面してきた。その都度、1990年代に一世を風靡(ふうび)した「ギャルブーム」向けの店舗を「フィスミー京都店」に充実させたり、衣料量販やディスカウントの大型店を導入したりと、ターゲット層の見直しとともに大規模な改装を繰り返した。

 近年は訪日ブームが追い風となり、外国人観光客による免税売り上げが好調というが、「それでも生き残りに十分ではない」(山田館長)。そこで新たな客層として着目したのがサブカルファンというわけだ。

 アニメイトの拡張だけでなく、6階には展示会専門スペースも新設。初回イベントには人気コミック「デスノート」の原画展を催した。客足は上々で、「3月に入ってからの6階の売り上げは前年同期比で2.6倍に伸びた」(同)という。

 今後はサブカルファンが集まるイベントを企画するほか、来店客同士が交流できるようなコミュニティースペースの設置も検討している。次の開業50年に向け、山田館長は「ほかにはない『オンリーワン』の施設として、さらに磨きをかけていく」と決意を語った。

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