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「子の尊厳訴えたかった」平和願った絵本作家いわさきちひろさんの孫、思いを代弁

京都新聞 2024年7月18日 15時0分

 太平洋戦争末期に乙訓地域で唯一の空襲「神足空襲」があった京都府長岡京市で、命の尊さや戦争の悲惨さを伝える催しが開かれた。講演会や献花式などがあり、市民らが平和と鎮魂の祈りをささげた。

 1945年7月19日の神足空襲では工場などが米軍の銃撃を受け、1人が死亡し複数人が負傷。長岡京市は空襲があった日を「平和の日」と定め、その前後に関連の催しを開いている。

 中央公民館であった「平和を考える市民フォーラム」では中小路健吾市長が戦争経験者の高齢化に触れ、「悲惨さが風化しやすい環境かもしれないが、想像力を働かせて、考えることがスタートライン」とあいさつした。

 その後、絵本作家の松本春野さんが講演。戦争を経験し「子どもの幸せと平和」をテーマとした祖母の絵本画家いわさきちひろさんの作品について、少ない線と淡い色の水彩画で表情を抑制して描いたと解説し、「大人が求める子どもを描くのではなく、子どもの尊厳を訴えたかったのでは」と指摘した。俳優黒柳徹子さんの自伝的物語「窓ぎわのトットちゃん」の表紙にいわさきさんの絵が使われて世界で愛されているとし、「どんな外交より人のつながりをつくった」と語った。

 会場には、京都府立大学の研究者や学生が調べた京都府出身の沖縄戦戦没者に関するパネル、神足空襲での機銃掃射の薬きょうなども展示。すいとんの試食会もあった。フォーラムに先立ち、「平和祈念碑」や「戦没者追悼之碑」前で献花式があり、参列者が花を手向け、保育園児が千羽鶴をささげた。

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