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社説:しんぶんし 事実、読み取る道具です

京都新聞 2024年8月1日 16時5分

 まさか、逆(さか)さま―。新聞紙(しんぶんし)と同(おな)じく、上(うえ)から読(よ)んでも下(した)から読んでも同(おな)じ「回文(かいぶん)」だよ。

 毎日(まいにち)作られる新聞には、新(あたら)しい驚(おどろ)きや知(し)らなかったことたくさん書(か)いてある。思(おも)い込(こ)みが、ひっくり返(かえ)るような記事(きじ)もあるんだ。

 だけど、スマホの画面(がめん)に慣(な)れた君(きみ)たちには、とっつきにくいかもしれない。まず、読めそうな所(ところ)を探(さが)してみよう。そうするだけでも大切(たいせつ)な力(ちから)が身(み)につくよ。

 例(たと)えば、このページにある「読者(どくしゃ)の声(こえ)」はどうだろう。京都(きょうと)や滋賀(しが)のいろいろな人(ひと)が、自分(じぶん)の思(おも)いや意見(いけん)を書いている。時々(ときどき)、君たちの同世代(どうせだい)の投稿(とうこう)もある。

 宮津市(みやづし)の中学生(ちゅうがくせい)は好(す)きな韓国(かんこく)アイドルの歌詞(かし)を調(しら)べ、韓国語(ご)が少(すこ)しだけ分(わ)かるようになったと喜(よろこ)ぶ。守山(もりやま)市の小(しょう)学生は琵琶湖(びわこ)の水(みず)が京都や大阪(おおさか)でも使(つか)われ、滋賀県(けん)に感謝金(かんしゃきん)が支払(しはら)われていることを知り、誇(ほこ)らしそうだ。500字以内(じいない)だから、君も挑戦(ちょうせん)してみれば。メールでも受(う)け付(つ)けている。

 最初(さいしょ)のページを見(み)てほしい。右(みぎ)下のコラムは、漫画(まんが)のセリフを抜(ぬ)き出(だ)して解説(かいせつ)している。<ありがとう!でもかおがなくなっちゃったよ>。これは「アンパンマン」から。「鬼滅(きめつ)の刃(やいば)」もあったな。

 その左(ひだり)の方(ほう)には「凡語(ぼんご)」。これは私たち記者(きしゃ)が書いているコラムだ。読んで、自分なりにタイトルをつけてみるのはどうかな。「ようわからんかった」ってのもありだけど、そればかりでは―。読んでもらえるよう、がんばります。

 新聞なんて読まなくても、スマホをみれば、いっぱい情報(じょうほう)が流(なが)れている。でも、うそも少(すく)なくないんだ。「フェイクニュース」という。残念(ざんねん)ながら、それで人の目(め)を引(ひ)きつけ、お金(かね)をかせぐ人もいるから気(き)をつけよう。

 情報は食(た)べ物(もの)に似(に)ている。好(す)きなものばかりや腐(くさ)ったものを口(くち)にすると、体調(たいちょう)を崩(くず)すね。情報も自分が読みたいものだけや、偽(にせ)ものに目を奪(うば)われていると、大事(だいじ)なことを見落(お)としてしまう。

 新聞は記者が時間(じかん)をかけて取材(しゅざい)し、「事実(じじつ)」を伝(つた)えようと工夫(くふう)しているよ。賛成(さんせい)、反対(はんたい)が分かれる問題(もんだい)は、いろんな考(かんが)え方(かた)や声を載(の)せることもある。

 だから新聞を読めるようになると、世(よ)の中(なか)が見えるようになるし、健康(けんこう)にもなる。少(すこ)し難(むずか)しいけど、これを「情報的(てき)健康」と呼(よ)ぶんだ。日本(にほん)は人口(じんこう)が減(へ)り、たいへんなことも多(おお)いけど、正(ただ)しい情報を基(もと)に話(はな)し合(あ)いをして、道(みち)をつくる力を身(み)につけてほしい。それに役立(やくだ)つ、しんぶんし、なのです。

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