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「ワイン、買えるところがないなら自分で」故郷の京都北部でショップを営む男性 旅先の非日常、訪日客へ

京都新聞 2024年8月17日 10時0分

 世界各地のワインとの出合いをサポートする。経営する京都府京丹後市大宮町善王寺のワインショップ「YOiNE(ヨイン)」にはガラス張りのワインセラーに約300種類をそろえる。カウンターでコーヒーを味わう客の好みを聞き、舌に合う味をセレクトする。欧米や国産に加えて、質が高いと太鼓判を押す南アフリカ産も飲める。

 ワインショップを営むソムリエの由良拓馬(ゆら・たくま)さん(39)は、「日常的なコーヒーを入り口に、地方ではハードルの高いワインを買ってもらえるステップを作りたかった」と店の狙いを話す。

 同市網野町出身で峰山高校を卒業後、調理師学校を経て料理人の道を歩んだ。現場で働くうちに「反応がダイレクトに返ってくる」サービスに興味を抱いた。ミシュラン三つ星に輝いた大阪市の創作フランス料理店に勤務。店で出すワインに魅了される中で、ソムリエの資格を取った。「香水のように香り高く、こくの強いワインに出合った。味が複雑なワインの世界にひかれた」と振り返る。

 転機は2021年。「子育てするには京丹後がいい」と帰郷し、「ワインを買えるところがないなら自分でやろう」と峰山町にショップをオープン。今年4月、焼き鳥店に併設する形で現店舗に移転した。店には大阪時代に飲んだ醸造所のワインや試飲会に出かけて探した逸品が並ぶ。市内のシェフが作る料理に合わせたワインも提供し、「面白い料理人がいて、いろんな料理と合わせられる」と満足する。

 丹後や兵庫県城崎温泉の旅館や飲食店への配達にも力を入れる。大阪時代からインバウンド(訪日客)の地方来訪を予感していた。「世界にはワイン好きが多く、旅先では非日常な飲み物が好まれる。丹後で質の高い飲み物を提供し、インバウンドの受け皿づくりに貢献したい」と古里のにぎわいにも思いを寄せる。

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