Infoseek 楽天

京都の「台所」亀岡の実力とは 農産物直売所がそこかしこに 記者が実感する夏野菜の味わい

京都新聞 2024年8月20日 8時0分

 ナス、シシトウ、タマネギ、キュウリ、ズッキーニ、トマト-。わが家の食卓には連日、夏野菜の料理が並んでいる。大手スーパーではなく、京都府亀岡市内の農産物直売所で購入した市内産ばかりだ。

 市内には、地域の営農組織が運営する下矢田町の「ふるさと産品直売所 矢田の里」や旭町の「なごみの里あさひ」、薭田野町の「京都佐伯の里」のほか、篠町にはJA京都による府内最大規模の「たわわ朝霧」などがある。定期的に朝市を催す地域もあり、農業が盛んなことを象徴しているのではないか。

 スーパーでは、ハウスなどで栽培された野菜や果物が、旬にとらわれることなく一年中手に入る。一方、直売所に並ぶのは旬の食材が中心で、季節を感じさせる。最近いくつかの直売所を取材する機会があり、その魅力に気付いて買い求めるようになった。

 2021年秋に赴任してから、忙しさを言い訳にして自炊は怠りがちだった。だが、地元の旬の食材のおいしさがモチベーションの一つになり、再び鍋を振るうようになった。特に素揚げが好きで、シンプルさゆえに素材本来の味を感じられるのが良い。

 一方、農家の数は全国的に減少の一途をたどる。亀岡市も例外ではなく、農林業センサスによると、1970年の4860軒をピークに、2020年は2153軒まで減った。

 状況は厳しいが、農地を集約して生産性を上げようとしたり、馬路町では所有者と営農者を仲介する組織が立ち上がったりと、地域では何とか耕作を維持しようとしている。最近は、有機農業が少しずつではあるが広がりつつある。各地の直売所も、農家の収益向上を目指してできたケースが多い。

 新鮮な農産物を都に供給し、「京の台所」とも称された亀岡。おいしい食材で、消費者のおなかを満たす存在であり続けてほしいと願っている。

この記事の関連ニュース