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「世界で一番ええとこ」の京都府南部に移住の48歳女性 地域への愛胸に最高のアート展開催へ

京都新聞 2024年9月2日 14時0分

 「瓶原は世界で一番ええとこ」と破顔する。兵庫県明石市出身の炭本伸子さん(48)は、京都府木津川市加茂町瓶原地域で暮らし始めて6年目。田畑や豊かな自然の風景、人々にほれ込み、「一番のファン」だと公言する。

 手作りのアート展「生えてきた芸術祭 みかのはら~と」を毎年秋に、地区で開いている。2018年と21年に木津川市内で巡回開催する地域芸術祭「木津川アート」が開かれたことをきっかけに、住民たちで企画し、22年に初めて催した。実行委員は市内の30~50代の14人。1年間、勉強会やワークショップを開きながら取り組んでいる。

 昨年の来場者は約760人だった。訪れた人が「私もやってみたい」と手を挙げられることが魅力の一つ。今年の参加作家は58組で、展示スペースが足りなくなるほど輪が広がった。実行委員で知恵を絞り、1人1箱の展示「茶箱空間」を発案した。全員で「おもしろくて、かっこいい」をキーワードに問題を解決する。

 瓶原地域も高齢化や少子化に直面している。みかのはら~とでは子どもも、一人前のスタッフや作家として参加する。お年寄りも障害者も、経験や知識の有無も関係なく、一人一人が対等に意見を言い、混ざり合う場所が広がってほしいと、願いを込めている。

 「アートってなんや??」をテーマに掲げ続けて3回目の今年は、実行委員らそれぞれが答えを出した。たどり着いた言葉は「帯刀」。「声を上げたくても上げることができない人も、世の中に一石を投じることができるのがアート。自分で戦えるものとして携えておけば、作品で思いを発信できるから」

 芸術や美術については「ど素人」とほほ笑みながら、「アートを分かった気になるのは危険だったりする。分からなくてもいい。考えるって大切な時間だと思う」と語る。瓶原への愛情を胸に、秋を彩る最高の展示会を作り上げようと奔走し、「おもしろい」の種をまき続けている。

 みかのはら~とは11月14~17日。午前10時から午後4時まで。ワークショップや勉強会の問い合わせはmikanoharart@gmail.com

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