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シベリア抑留者からのはがき「ゴアンシンクダサイ」 家族思い、子の身長尋ねる文言も 京都・舞鶴で展示

京都新聞 2024年9月7日 15時0分

 舞鶴引揚記念館(京都府舞鶴市平)で、シベリアの抑留者が日本の家族に宛てた「俘虜(ふりょ)用郵便葉書」の企画展が開かれている。1枚のはがきに込められた抑留者たちの家族への思いを感じることができる。

 同葉書は、シベリア抑留中に一部の収容所で日本人に配られた往復はがき。日本で暮らす家族や友人に安否を知らせる唯一の手段だった。家族も返信で、遠方にいる父や夫などに帰国を待ちわびる思いや近況を伝えた。

 企画展では同葉書12点や書き起こしパネル、夫の帰りを待つ妻が書いた日誌などが展示されている。

 初期の頃は、はがきの内容をソ連兵が理解しやすいよう片仮名で書かれていた。また抑留生活の過酷さを記すと検閲を通らない可能性があったといい、「ゲンキデクラシテオリマスカラ ゴアンシンクダサイ(元気で暮らしておりますから ご安心ください)」など自身の状況については簡潔な表現が目立つ。

 「男のいない留守生活は、定めし苦労も多く生活も楽ではないと思います」と家族の暮らし向きを心配したり、「身長は一米三十何センチになりましたか」と子どもの成長を尋ねたりする文言がつづられ、抑留者の心情を知ることができる貴重な資料となっている。

 10月20日まで(水曜日休館)の午前9時から午後5時まで。企画展は無料(別途入館料が必要)。

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