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社説:立民党の代表選 政権交代を担う受け皿示せ

京都新聞 2024年9月7日 16時0分

 裏金事件で揺らぐ自公政権に代わる対抗軸をどう構築するか。野党第1党を率いるリーダーの喫緊の使命だろう。

 立憲民主党の代表選が、きょう告示される。

 これまでに枝野幸男前代表、野田佳彦元首相、直前のきのうは泉健太代表が立候補すると表明した。いずれも、前身を含め党首経験のある顔ぶれである。

 期間が重なる自民党総裁選が40代を含む候補が続出して耳目を集める中、埋没するわけにはいくまい。

 15日には立民結党4年も迎える。党路線の検証と政策論戦を通じて方向性を集約し、政権交代に向けた受け皿作りの結節点にすべきである。

 まず問われるのは、この3年間の泉路線を継続するのか、転換するのかだろう。

 泉氏は2021年の衆院選敗北で枝野氏が引責辞任したのを受け、代表選を制した。当初は「政策提案型」野党を掲げたが、6議席減らした22年参院選後、政権との対決姿勢を強めた。

 日本維新の会との国会共闘も進めたが、足並みがそろわず短期で決裂。巨大与党に対抗すべく、各選挙で野党候補の1本化を模索したが、維新や共産党との距離感に苦心して軸足が定まらなかった。共闘の結集軸を担う指導力は物足りなさも残る。

 直近調査の政党支持率も10%強で、裏金事件で低落した自民にも水を開けられたままだ。

 出馬表明した3氏は、次期総選挙で政権交代を目指す決意を示した。ならば、自公政治に代わる、いかなる旗印と体制構築を掲げるかである。

 狙うべき急所は、政治とカネ問題の抜本改革だろう。企業・団体献金の禁止をはじめ、不正の根を断つ議論は、自民総裁候補との相違を示せよう。

 目指す経済社会像について枝野氏は「人間中心の経済」、野田氏は「分厚い中間層の復活」とした。明確で分かりやすい発信とともに、直近の国政選挙で掲げた消費税減税の扱いや、社会保障の財源確保策、原発、憲法改正といった党内で意見がばらつく問題で議論を求めたい。

 野党共闘を巡り、泉氏は教育無償化を共通政策にするなど「ミッション型政権」構想を表明。枝野氏は地域ごとの連携構築を主張し、野田氏は穏健な保守層への支持拡大を強調する。論戦で具体論を深め、その上で選出された代表の下で、全党の結束が欠かせない。

 共同通信の7月世論調査で、次期衆院選の望ましい結果は「与野党の伯仲」が半数超に上った。大胆で筋の通った野党結集なしに有権者の期待に応えられまい。

 代表選には他にも若手を含め立候補を探る動きがあるが、必要な推薦人20人の確保が壁になっているという。現議員数に対し、自民と同じ要件が適正なのか再検討が必要だろう。

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