2023年11月、鹿児島市の住宅で飲食店を経営する息子を包丁で刺して殺害したとして殺人の罪に問われている父親の裁判員裁判です。裁判は29日に結審し、検察側は父親に懲役12年を求刑しました。
殺人の罪に問われているのは鹿児島市東坂元の飲食店手伝い、田井幸秀被告(71)です。起訴状などによりますと田井被告は2023年11月、自宅で、飲食店を経営する息子の田井兆さん(当時48)の背中と太ももを包丁で突き刺し、殺害したとされています。
27日開かれた初公判で、田井被告は包丁で突き刺したことは認めたものの、「殺意はなかった」と述べ、起訴内容を一部否認。殺意があったのかどうかが争点となっています。
29日の裁判で検察側は「人が死ぬ危険性の高い行為で、殺意が認められることは明らか」と指摘。その上で、「兆さんの言動に腹を立て刺したことは安易かつ短絡的な意思決定で強い非難に値する」などとして、懲役12年を求刑しました。
一方、弁護側は「最初に太ももを狙って刺したのは痛めつけようと思ったためで傷害罪が成立する」と主張。背中を刺したことについては「事件の前に殺すことは考えておらず計画性はなかった」として、殺意の有無について慎重に判断するよう求めました。
判決は12月6日に言い渡されます。
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