23日に91歳の誕生日を迎えた上皇さまもかつて宿泊されたことのある日置市の国民宿舎「吹上砂丘荘」。2025年3月で54年の歴史に幕を下ろします。
ここのレストランで人気のランチビュッフェが22日、最後の営業日を迎えました。愛された名物のカレー。料理長の思いは?
男性はいつもと同じように開店に向け準備をしていました。日置市の国民宿舎「吹上砂丘荘」の料理長、田中隆幸さん。このレストランで約13年間料理を作り続けてきました。
日置市が運営している「吹上砂丘荘」。施設の老朽化や厳しい経営状況などを理由に2025年3月で54年の歴史に幕を下ろすことが決まりました。
(吹上砂丘荘・田中隆幸料理長)
「寂しいですね。長いこと調理師をやっているが「最後」という言葉は寂しい」
吹上砂丘荘で営業してきたレストランでのランチビュッフェは一足先に22日、最後の営業日を迎えました。
(吹上砂丘荘・田中隆幸料理長)
「きょうだけ特別ということではないが、いつもよりも気持ちを込めて作りたい」
ビュッフェの目玉は料理長特製豚軟骨がトロットロになるまでじっくりと煮込んだカレー。一晩以上冷蔵庫で寝かせてから提供するこだわりのカレーは多くのファンに愛されてきました。
(吹上砂丘荘・田中隆幸料理長)
「仕込んだその日には出さない。寝かしたのをバイキングに出すようにしている。自分の作っているカレーが評判が良いということでその声はいただいている「寂しくなる」「食べられなくなる」と」
思いが込められた最後のカレービュッフェ。営業開始とともに、多くの客が訪れました。
(客)
「初めてなんですけどきょうでおしまいというのを見てぜひ最後に食べてみたいなと思って家族で来た。もっと早く来ればよかった」
(客)
「おいしい!」
(客)
「ビュッフェでおいしいもの食べさせてもらってたのでなくなるというのは本当に寂しいなと思う。残してもらえないかな…」
終わりを惜しむ客の声が、愛されてきた何よりの証です。
(吹上砂丘荘・田中隆幸料理長)
「何回も何回も足を運んでくれるお客様がいらっしゃってその人たちには感謝でしかないし、お客様が喜んで「おいしかった」「ありがとう」と言って帰られる姿を毎回見られて幸せだと思う」
たくさんの人の「ありがとう」と「ごちそうさま」に支えられ、その歴史をつないできた吹上砂丘荘のカレーランチビュッフェ。惜しまれつつ、その歴史に幕を下ろしました。
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