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最近銀行が使いづらくありませんか 支店減少と高額手数料に泣く一般客…メガバンクの本音とは

まいどなニュース 2024年7月31日 7時40分

銀行は、お金にまつわるさまざまな手続きができて生活に欠かせません。しかし最近「銀行が使いづらくなってきたな…」と感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。たとえば以下のようなことに心当たりはありませんか。

・予約をしないと長い時間待たされる
・振込などをする際に、店舗で行うと手数料が高い
・支店が大幅に減っている

メガバンクの多くは予約制を実施しており、予約しないと1時間以上待たされることもザラにあるようです。

また振込手数料は窓口とインターネットで大きく異なります。たとえば、3万円以上の金額を他行宛てに振り込んだ際の手数料は以下の通りです。

▽三菱UFJ銀行
窓口…990円
インターネット…220円

▽三井住友銀行
窓口…770円
インターネット…330円

▽みずほ銀行
窓口…880円
インターネット…320円

支店数に関してもここ30年で6割減少したと言われています。例えば三井住友銀行と三菱UFJ銀行はピーク時には1000店以上あった店舗数が、現在では三井住友銀行は474店舗、三菱UFJ銀行は525店舗(ともに海外店舗を含んだ数)となっています。

こういった状況を受けて、今まで毎月必ず銀行に行っていた70代男性のAさんも、最近では来店機会を大幅に減らしました。

離れて住む孫の学費援助として、子どもの口座に振込をしていたAさん。スマホやインターネットの操作が得意でないため、毎月銀行に出向いて手続きをしていました。しかし、銀行の窓口での待ち時間の長さや、振込手数料が高くなったことが負担に。そして、このほど昔から利用していた最寄りの支店がなくなってしまったこともあり、振込の頻度を「毎月」から「3カ月に1回」に変えました。

このAさんの対応に、子どもからは「毎月振り込んでくれるほうが管理がしやすい」と言われるものの、ネットバンキングへの移行は「難しそう」と思い行動できず、Aさんは憂鬱な毎日を送っています。

なぜ銀行は来店するお客様が減るような施策をするのか

本来銀行は多くの利用者に来店してほしいはずですが、なぜこのような状況になっているのでしょうか。その理由を、ファイナンシャルプランナーで元メガバンク行員だった渡辺智さんに聞きました。

——最近の銀行は、まるで利用者が訪れにくくなるような施策をとっているようですが、なぜですか

元々は感染症対策として窓口業務をインターネットで完結できるように改善したこともありますが、大きな理由は「富裕層ではない一般層のお客様が多く来店しても、銀行は儲からないから」でしょう。

銀行の支店の主な収益源は投資信託や保険などの販売手数料ですが、一般層のお客様などの来店では大きな金額の購入は期待できません。つまり、一般層のお客様がおこなう時間のかかる事務手続きが多いと、行員の人件費ばかりが増えて銀行が赤字になってしまいます。

——銀行はすべてのお客さんに来店して欲しくないのでしょうか

いいえ。そんなことはありません。お金をたくさん持っている富裕層には積極的に来店してほしいのです。実際に来店してもらうために、待ち時間なく事務手続きをおこなったり、振り込み手数料を無料にしたりと、富裕層に特化した運営をおこなっている銀行も多いです。

——今後もこのような傾向は続きますか?

例えば、今後日本の政策金利が上がっていくのなら、状況は変わるかもしれません。政策金利が上がれば預金の金利が上がり、企業に貸すお金の金利や住宅ローンの金利も上がるため、銀行が儲かりやすくなります。

そうなったら、貸し出し用の資金を集めるために、一般層のお客様にも来店してもらい預金を増やしてもらうキャンペーンなどをおこなうかもしれません。ただ、現状では預金を集めるにしても富裕層を中心に営業した方が効率が良いため、今の状況が変わることはないでしょう。

——私のような一般層の人間にとっては、ますます店舗から足が遠のいてしまいそうです

店舗を利用することに問題はないのですが、待ち時間や手数料でストレスを感じることはあるかもしれません。また、今はほとんどの手続きをネットバンキングでできます。わざわざ銀行の窓口に出向かなくても、特に困らないのではないでしょうか。

◆渡辺智(わたなべ・さとし)/1級ファイナンシャル・プランニング技能士 メガバンクに11年間勤務。現在は金融ライターとして活躍中。メガバンク在職時には最優秀営業賞を2回受賞。富裕層を対象にするプライベートバンカーなどを歴任。「難しい金融をわかりやすく伝える」ことをモットーに活動中。

(まいどなニュース特約・八幡 康二)

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