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実は日本は「FIREしやすい国」だった!? 30代女性「毎月8万円積み立てできれば…」FPが解説する“サイドFIRE”という選択肢

まいどなニュース 2024年7月24日 19時30分

あなたは「はやく会社を辞めたい」と思う人ですか? 仕事に対する価値観は人それぞれですが、近年、仕事に縛られない生き方として30~40代の人たちの間で「FIRE」がブームになっています。FIREとは、「Financial Independence Retire Early」の略で、経済的に自立をして早期退職し、残りの人生を有意義に過ごすという生き方を意味します。

そんなFIREを目指すひとりに、30代独身女性のAさんもいます。もともとAさんは「自分は大金持ちでもないし、給料が高いわけでもないから、現実問題としてFIREを目指すのは難しいかな」と考えていました。

実際、FIREに憧れる人は多いですが、Aさんのように実践できないと考えている人が大多数です。しかし、じつは多くの人が考えるほどFIREを実現することは難しくありません。

FIREを実行するために必要な資金やお金の貯め方について、元銀行員でFPの資格を持つ渡辺智さんに聞いてみました。

ーFIREを実現するためにはどんな方法があるのでしょうか

そもそもFIREするための代表的な方法は、貯めた資金を投資に回して得た配当金で生活費を補うことです。生活費が投資の配当金ですべて補えるなら働く必要がなくなり、FIRE達成となります。

では年間の生活費を補えるだけの配当金を得るためには、一体どれだけの資金を投資する必要かというと、一般的には年間生活費の25倍の資金を投資することが必要だといわれています。

この数値の理由は、アメリカで発表された投資の4%ルールに由来しています。4%ルールとは、平均的な株価成長率(7%)から平均的な物価上昇率(3%)を差し引いた金額(投資金額の4%)で生活費を賄えれば、資産を減らすことなく生活できるというルールです。このルールを逆算した結果が、年間生活費の25倍の投資金額ということです。

もしも年間生活費が300万円だった場合、300万円÷0.04=7500万円を投資したら年間の配当金が300万円得られ、FIRE達成です。しかし、この計算はアメリカでFIREする際のもので、日本でFIREを目指す場合はもっとハードルを下げることが可能でしょう。

昨今、日本でも物価上昇が問題視されているものの、10年単位で考えると日本の物価上昇率はアメリカよりも少ないです。つまり日本でFIREを目指すなら物価上昇率を3%で計算する必要がなく、より少ない資金でもFIREが達成できるかもしれません。具体的な数値でいうと、生活費の割合を6%で計算し、FIREに必要な資金は300万円÷0.06=5000万円となります。

ー7500万円に比べると5000万円ならかなりハードルは下がります。けれど、やはり困難な金額には変わりありませんね

確かに5000万円もかなりハードルが高いです。そこで、さらにFIREに必要な資金を減らす方法として、「セミリタイア」を考えてみてはいかがでしょうか。

もしもFIREをした後も働き続けるのなら、FIREのハードルは劇的に下がります。この場合のFIRE(通称「サイドFIRE」)に必要な資金額は、5000万円から2000万円に減少します。

なぜここまで資金額を減少できるかというと、仕事によって得られる給与を加味しているからです。例えば年間生活費300万円のうち180万円を働いて稼ぐのなら、投資の配当として受け取りたい金額は年間120万円に減少します。したがって120万円÷0.06=2000万円と計算できるのです。

この2000万円を15年の積立投資で貯める場合、複利課税を考慮しても毎月8万円を積立できればサイドFIREに必要な投資額に達するのです。この提案を聞いたAさんは、「この金額であれば、問題なく積立できそう」とサイドFIREを目標にすることを決めました。

ーどうすれば、早くFIREするための資金を貯められるでしょうか?

早くFIREに必要な投資金額を貯めるためには、支出を極力減らして投資に回す金額を増やすことが重要です。そして数ある支出を減らす手段のなかで、もっとも効果的なのは固定費を減らすことでしょう。

例えば、家賃や車の維持費、生命保険などを減らせば劇的に毎月の支出を減らせます。かんたんに減らせる部分でいうと、まずはスマホを大手から格安キャリアに変更することがあげられます。これだけで毎月7000円以上だったスマホ料金を約2000円まで減らすことが可能です。

その他、車をあまり使わない人であれば、車を所有するのではなくカーシェアを利用するのもおすすめです。また、リモートで仕事ができる人なら家賃が低い地域に引っ越しをしてしまうのも支出を減らす意味では有効でしょう。

ー日本は他国に比べてFIREがしやすい国と聞きましたが本当ですか?

はい。アメリカに比べればFIREを達成しやすい国といえます。物価上昇率が海外に比べて低いこともありますが、海外と違ってどこでもきれいな水を確保できて治安も非常に良いです。水や安全面にお金をかける必要があまりないのは日本独自の特徴といえます。

このように、生活費を投資の配当金で完全に賄うFIREもあれば、サイドFIREのように達成後も働き続けるセミリタイア版のFIREも存在します。もしも働くことにお金以外にも楽しさや生きがいを感じている場合は、人生の目標のひとつとして、サイドFIREを目指してみてはいかがでしょうか。

◆渡辺智(わたなべ・さとし)/1級ファイナンシャル・プランニング技能士 メガバンクに11年間勤務。現在は金融ライターとして活躍中。メガバンク在職時には最優秀営業賞を2回受賞。富裕層を対象にするプライベートバンカーなどを歴任。「難しい金融をわかりやすく伝える」ことをモットーに活動中。

(まいどなニュース特約・八幡 康二)

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