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「給食当番のマスク」に、保護者が「いらないのでは?」 変化したマスクのイメージ「脱マスク派でもそれは違う」

まいどなニュース 2024年9月18日 6時55分

「給食の配膳でマスクを外す生徒がいるのだけれど」「保護者会で『今マスクは個人の自由』という親がいた!」「学校給食の行事で、持ち物にマスクを持ってくる指示があるのがイヤ」「給食でのマスクの効果あるの? 衛生管理って大丈夫なの?」

2023年3月13日以降、マスク着用に関しては個人の判断に任せることが基本となり、マスクに対する拒否感が、学校での「給食」にも影響を与えるような声がSNSでは話題にのぼります。

そんな声に対して、「食べ物を扱う仕事のマスク着用は当たり前なので、当然学校給食の当番はマスクを着用すべき」「脱マスク派ですけど、コロナ前にやってたものを無くそうとは思いません。唾液を飛ばさない効果はあるんだから」「感染対策と衛生対策は別」という意見もあり、マスク着用に対する意識が個々人で異なることが伝わってきます。では、給食のマスクはどう判断すれば良いのでしょうか?

給食でのマスクはいる?いらない?

文部科学省では、学校教育活動の実施に当たっては「マスクの着用を求めないことを基本とする」と、児童生徒がマスクを外して学校生活を送ることができるよう児童生徒や保護者に対して丁寧な情報発信をするよう呼び掛けています。

ただ、同省「食に関する指導の手引-第二次改訂版-」(※1)では、「学級担任等は、給食の配食を行う児童生徒及び教職員について(中略)配食前、用便後の手洗いを励行させ、清潔な白衣やマスクの着用など衛生的な服装で食器及び食品を扱うように指導します」と定めていることからも、日々の生活と給食時間は別個として考えなければいけません。

理化学研究所計算科学研究センター(兵庫県神戸市)が2022年に発表した資料『室内環境におけるウィルス飛沫感染の予測とその対策』(※2)によると、英語で1〜10を9秒(途中で一度吸気)声に出し、繰り返す実験を行ったところ、1分間で大声の場合、25000個程度の飛沫が発生。マスクをすることで飛沫量を1/3程度に抑えると共に、飛散距離を減らすことができるとしています。このことからも、マスクが飛沫を防ぐ効果のあるアイテムであることが実証されています。

また、全音楽譜出版社(東京都新宿区)がマスクの効果について発表した資料からも、マスクを正しく着用することで、着用しない場合に比べて飛沫の吐き出し量・吸い込み量共にカットできることがわかります。

子ども用から大人用まで様々なデザインの不織布マスクを販売しているスケーター株式会社(奈良県奈良市)によると、「飛沫が飛び散らない」ことがマスクをすることの一番の長所と語っています。テンションが高くなってつい大声でしゃべってしまったり、くしゃみが出てしまったり、また唾が飛ぶのを見て食欲が減退する子がいたりする可能性を考えても、やはり必需品と言えます。

小学校の現場では…

さらに、「給食配膳時のマスクは必要です。配膳した給食は、他の子の口に入るものだからです。給食当番だけでなく、全員着用です」と教えてくださったのは、小学校で10年以上教師をしているA先生。A先生の学校では、マスク着用については事前にプリントを配布し、保護者にも伝えているとのこと。マスクの種類の指定はしておらず、コロナ禍前から配膳時は必須だったそうです。

配膳時のおしゃべりについても「おしゃべりをしてしまうと、それだけ時間がかかります。配膳時に余裕はないので、おしゃべりについてクラスでルールを設けているところもあると思います。また食べている時も“お昼の放送中はしゃべらない”“何分までは黙って食べるもぐもぐタイムを設ける”などを実施している学校もあります」と教えてくれました。

子ども用マスクも多様多様に展開されている昨今。お子さんたちが着用しやすいものを選び、ガーゼや布マスクが衛生的に心配であれば頻繁に洗ったり、不織布マスクを使用することで対応を。また発達の特性や感覚過敏をはじめ、マスクの着用が困難なお子さんももちろんいるでしょう。そういった子のために衛生的にも協力し合いながら楽しい給食時間にするための工夫も必要となってきます。ただ、大人や親がマスクの「個人判断」を給食時間にまで適用しようとすることについてはみんなで注意する必要がありそうです。

(※1)文部科学省の「食に関する指導の手引-第二次改訂版-」の『第5章 給食の時間における食に関する指導』-「3 学校給食の衛生管理」-(3)給食当番活動より

(※2)理化学研究所計算科学研究センター チームリーダー/神戸大学大学院システム情報学研究科教授 坪倉誠氏の所属する「富岳コロナ対策プロジェクト飛沫感染チーム」が2022年に発表した資料『室内環境におけるウィルス飛沫感染の予測とその対策』より

出典:文部科学省ホームページ「5類感染症へ移行後の学校における新型コロナウィルス感染症対策について(通知)(令和5年4月28日)」
文部科学省ホームページ「食に関する指導の手引-第二次改訂版-(平成31年3月)」

『室内環境におけるウィルス飛沫感染の予測とその対策』(2022年2月2日記者勉強会発表資料)
理化学研究所計算科学研究センター チームリーダー/神戸大学大学院システム情報学研究科教授 坪倉誠 富岳コロナ対策プロジェクト飛沫感染チーム

株式会社全音楽譜出版社「新型コロナウィルスに関する情報《マスク編②》データから見るマスクの効果」(2021年7月)

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・太田 真弓)

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