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旅先でスキューバダイビング→「直後に飛行機は絶対やめて!」なぜ? 航空会社は「ご搭乗お断りも」、インストラクターに聞いた

まいどなニュース 2024年7月10日 7時10分

夏のレジャーのひとつ、スキューバダイビング。深い海に潜り、ゆらゆら浮遊して海の生きものたちを観察するのは非日常感あふれる世界へと誘ってくれます。

旅先で何度も潜りたい、と飛行機の出発時間を照らし合わせながら計画を練る人もいれば、体験ダイビングに急遽チャレンジする人もいるのではないでしょうか。そんなときに注意しておきたいのが、帰りの飛行機をいつ予約しているかです。それによっては、健康に被害が及ぶ可能性も…。

初心者からインストラクターまでレベル別に指導を行う「トライブダイビングスクール」、「24時間以内にスキューバダイビングを行った場合、搭乗をお断りすることがございます」と自社サイトでアナウンスをしているJALに話を聞きました。

ダイビング24時間以内の飛行機搭乗はなぜダメなの?

「スキューバダイビング後、24時間以内に飛行機に搭乗すると、減圧症になる可能性があります」というのは、大阪梅田・兵庫西宮でトライブダイビングスクールを運営する筒井さん。

減圧症とは、ダイビングで体内に吸収した窒素が急激な減圧で体内から放出されないまま残り、血液や組織内で気泡を作ってしまう症状。別名潜水病とも言われ、関節痛や頭痛、めまい、倦怠感、吐き気などをもよおします。さらに、症状が進むと、皮膚のしびれや右心不全、呼吸困難などが発生。場合によっては後遺症を伴うことも。

「機内の気圧変化が減圧症を引き起こしやすいとされているため、ダイビング後の飛行機搭乗は24時間経過してから、と言われるのです」と話します。

同スクールでは、初心者対象の講習の座学で、ダイビング24時間以内の飛行機搭乗と減圧症について講義を行っています。また、飛行機を利用してのダイビングツアーを申し込んだ人に対しては、申し込み段階で帰りの飛行機の出発時間を確認。最終ダイビングの24時間以内に帰りの便を予定している場合は、理由を説明して変更を求めます。「過去に、24時間以内の飛行機チケットを取っている方がいた時は、飛行機を翌日便にしてもらいました」。

ダイビング業界では常識として知られているものの、「ダイビングは久しぶりで忘れてしまっている人もいると思います。また、現地に遊びに行って、その場で体験レッスンを申し込む人は知らない人が多いでしょう」と筒井さん。

国やスキューバダイビング関連の組織などによる明確なガイドラインがなく、スクールやツアー会社、インストラクターなどダイビングに関わる各自がそれぞれに定めたルールに基づき、「ダイビング後24時間以内の飛行機搭乗は避けるべき」と注意喚起を行っているのが現状です。

「例えば、沖縄のダイビング会社が、現地を訪れた旅行客からダイビングの申し込みを受けたら、飛行機の搭乗時間などを確認。場合によっては、申し込みをお断りします。でも、虚偽の申告をされていたり、予定を変えられたりすると、どうしようもないのです」。

ダイビング後24時間以内に飛行機に搭乗したことで、健康を損ない、ダイビングに恐怖を感じるようになるのは避けたいところ。「スキューバダイビングを楽しむ人が増えてきたのは喜ばしいこと。同時に、まだまだ知られていない部分もあります。正しい知識を持って、海の中を楽しんで欲しいです」。

「搭乗お断り後の諸費用は、お客さま負担」

 JALでは、同社サイト内で「ダイビング後24時間以内の飛行機搭乗はお断りさせていただく場合がございます」と注意喚起を行っています。

ただし、チェックインの際の自己申告が原則。「24時間経過後の便に変更する場合は、原則お客様ご自身で予約便のキャンセル及び再予約手続きを行っていただきます」と広報担当者。

予約便変更に伴うキャンセル手数料や運賃は、「お客さま都合によるキャンセル及び再予約となるため、通常通り運賃種別に合わせたキャンセル手数料を頂戴します。その時点でご購入していただける運賃で再購入をしていただきます」とのこと。延泊による宿泊費なども自己都合となり、自身での負担になります。

申告をしないまま、あるいはダイビング後24時間以内の飛行機搭乗はNGの事実を知らないまま、搭乗した結果、機内で体調不良になった場合は、「客室乗務員は、機内で体調不良となったお客様に対して、誠心誠意対応させていただきます。ただし、体調不良の原因がスキューバダイビングによるものかどうかの判断は行えません。お客様やご同行の方からダイビングをされていたことをお聞きした場合には、医療従事者や着陸後に地上係員に、その情報を引き継ぐことがございます」。

機内で体調不良の乗客がいた場合、状況によっては、緊急着陸や元の空港に引き返すことも。同じ便に乗り合わせた人々の予定を狂わせるなど、思いもよらぬ事態を招く可能性もあるのです。 

ダイビング後24時間以内飛行機搭乗は、自身の健康を脅かす危険があります。また、楽しい旅の思い出を無惨なものに変えてしまうかもしれません。安全で楽しい旅を続けるために、無理のないスケジュールを立てるようにしましょう。

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・宮前 晶子)

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