先日、X（旧Twitter）で溶接技術者たちの注目を集める投稿がありました。新家勇太＠溶接の町工場アラヤ（@araya_anteikan）さんが、「うちの弟が29歳なんですが『俺溶接上手いからな！』と調子に乗っています。Xの猛者の方々でマウント取ってあげてください」という挑戦的なメッセージとともに4枚の溶接写真を投稿したのです。
この投稿は3200万回以上表示され、弟さんの溶接技術に対して「上手い！」「いい仕事！」といった声が多数寄せられました。「外観を見る限りとてもきれいだけど、切断して断面を見たい」「溶接不良を防ぐためにも焦らずゆっくり溶接してください」といった職人ならではの指摘もありましたが、「うますぎてマウントとれない」「調子に乗っていいです」とのコメントが続々と。そして、職人さんたちが自慢の「美しい溶接」写真をアップするようになったのです。
コメント欄は、溶接でもっとも難易度が高い国家資格であるボイラー溶接士の資格保持者が施工した配管の溶接写真を投稿し、更なる盛り上がりを見せます。ボイラー溶接士による写真は、あまり溶接を知らない人からは凄さが分かりにくいものの、閲覧していた他の職人たちによって、とても高難易度であることや、ごく一部の資格保有者にしかできない技術であることが説明されました。
このように新家さんの投稿をきっかけに多くの「溶接マウント」が繰り広げられたことについて、新家さんはどのように思っているのか、詳しく聞いてみました。
━話題となったポストには、どのような意図があったのですか？
特に意図はなかったですが、強いていえば会社のアピールですね。僕が入社するまで会社でSNSなどもやっていなかったので、今後のためと思い試しに始めたXの投稿がたまたま伸びただけです。
━呼びかけに対して多くの反響がありましたが、どのような心境でしたか？
とにかくびっくりしました（笑）。厳しい意見をもらうかなと思っていたのですが、ほとんどがお褒めの言葉だったので嬉しかったです。
━弟さんは溶接にたずさわって何年くらいですか？
弟の溶接歴は、8年ほどになります。すでに一人前として毎日仕事をしています。
━溶接技術は学び始めて何年ぐらいで一人前と認められるのですか？
溶接にも色々な種類があります。その中でどれか1種類でもひとりで完了させられる溶接があり、仕事を任せられているのであれば、一人前と呼べるのではないでしょうか。
僕自身は、溶接業に携わって1年ちょっとでまだまだ分からない事が多いです。ただ25年近く溶接をしている弊社の社長でも分からない事があるため、とても奥深い世界だと感じます。
━技術を追求する限り課題があるということですね！弟さんは、今回の反響について何か言っていましたか？
弟は「え？そんな上手くやってないのにな（笑）本気出したらもっと上手くなるで！」と調子に乗って話していました（笑）。ですので、「お前の溶接上手いのはもちろんやけど俺の投稿もうまかったんやぞ！」と、僕も調子に乗っておきました（笑）。
（まいどなニュース特約・海川 まこと）