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2階屋根から突き出た部分、これなんだ?→「鳩小屋」「ロフト」「天守閣」珍回答多数、正解は?大学教授に聞いてみた

まいどなニュース 2024年7月24日 6時50分

「屋根に飛び出たあれってなんというものなんでしょうか」

X(旧Twitter)へ投稿された古い木造二階建ての屋根の上に、ぽっこり小さな屋根が飛び出しているような写真が話題となりました。この問いかけに、多くのコメントが寄せられ、投稿した、にわかねさん(@nekogayottekuru)も驚くほどコメント欄は盛り上がり、大喜利状態に!

「緊急脱出用」
「吹き出物」
「合体するとき頭部になるやつです」
「この部屋?で星空眺めたり瞑想したり昼寝出来たら、すごく楽しそう」
「かつては大きな城で、その部分は天守閣だったんだよ」
「猫に外を見せてあげるだけのやぐらではないかと思っている」

さらには、本気でリサーチして、その結果を投稿してくれる人も現れて……。

「越屋根じゃないかな?」
「通風や明かり取りのために設けられた天窓のようですね」
「煙出し説と櫓説があるみたいですね。
ちなみに絹織物の産地では、あのスペースで機を織っていたそうで、強烈な蚕の臭いを家の中に滞留させないためにあの位置にしてると聞きました。ご参考までに…」

コメント欄を読み込むほど、面白く興味深い内容。この構造物の詳細について、投稿主のにわかねさんにお話を伺いました。

「撮影場所が金沢」ということがポイント!?

ーーにわかねさんは古い街並みがお好きなんですか?もしかして、建築関連のお仕事をされていたり……?!

「全く関係ない職業に就いています…笑。もともと廃線跡が好きで、自分で見に行った廃線をブログに載せるということを続けてきました。そうした廃線を求める旅行をしていくうちに、ここ何年か、古い建物や町並みにも興味をもつようになってきて。廃線跡のように『近い将来見られなくなるかもしれない景色』と、『古くから生き残っているもの』に惹かれているのだと思います」

ーー今回Xへの投稿で話題となった古い木造建築の写真は、どこで撮影されたんですか?

「金沢市の博労町交差点の辺りです。町家と呼ばれる建物は見たことがありましたが、このような建物は初めて見ました」

ーー金沢にはまだこうした古い建物が残っていますもんね。この飛び出た構造物の正体について、コメントにはさまざまな意見が投稿されていましたが、にわかねさんとしては、どの回答がしっくりきますか?

「軽く調べても分からなかったのでポストしましたが、いいねが4桁を超えたくらいで調べ直し、『明り取り』じゃないかと自分の中での結論を出しました。国交省が作成したPDFをリプしてくださった方がいらっしゃり、そこにも『採光・換気のための天窓』とありました」

ーーほかにも、お気に入りの面白い建築物があれば教えてください

「しっかり管理された建物となりますが、新潟県長岡市にある「松籟閣(しょうらいかく)」(旧平澤家住宅)は見事でした。和風な建築に小さな洋館がくっついていてかわいいですし、中も和洋折衷な感じで、書ききれないくらい見どころがたくさんです!ぜひ現地で見ていただきたい建物です」

今回のにわかねさんによる投稿では、コメント欄を読むと「明り取り」説が有力でしたが、「越屋根」というワードも気になるところです。

京都で古民家の保存やリノベーションを手掛ける「日暮手傳舎(ひぐらしてったいしゃ)」の吉田れなさんに話を伺うと「2階の部屋の天井が抜けていて、光が落ちるようになっているなら採光のための『明り取り』の可能性が高いですね。でも道に面した表側の部屋なので、わざわざ天窓作るほど暗いかな?とも思いますが……その土地ならではの建て方があったりするので、NPO法人金澤町家研究会へ聞いてみるといいですよ」

というわけで、NPO法人金澤町家研究会に取材をお願いしたところ、副理事長・増田達男先生(金沢工業大学名誉教授)が丁寧に回答してくださいました!

ーーこの構造物は、ズバリなんですか?

「『天窓』と言います。明かり取りですね。古くは1階の『茶の間』に囲炉裏があったので、その煙も抜けましたが、目的は明かり取りです」

ーー大方の予想は正解でした!「越屋根では?」という意見もありましたが……

「民家の越屋根にも似ていますが、『天窓』です。近代になって、高所から周りを眺めるために床のある『望楼』も作られましたが、これは床のない『天窓』ですね」

ーー明かり取りのためだけなら、こんなに立派にしなくて良さそうですが

「このような入母屋の立派な屋根になったのは、昭和になってからのことです。格式を意識したのでしょう。藩政時代の『天窓』は、簡素な平入(屋根の平側が道に面する)の低い屋根の形式でした」

というわけで、結論は「明かり取りの天窓」でした!解決してすっきり。ちなみに、今回にわかねさんが撮影した町家は民家で非公開なので見学できませんが、金沢市内で古き良き建物を見てみたい人は、「金澤町家情報館」がおすすめです。

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・東寺 月子)

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