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廃業した繁殖場から保護 やせ細ったノルウェージャンの子猫5匹 一心不乱に食べる様子はまるで野良 「純血種」ビジネスが示す闇

まいどなニュース 2024年8月7日 15時30分

ペットショップなどでは、「純血種」として人気の犬猫が販売されています。多くは子犬、子猫でとてもかわいらしく、犬種、猫種によっては優雅な印象を与えるものもあります。しかし、その裏では純血種の繁殖を優先させた活動が行われています。

2024年5月、廃業したブリーダーの元から地元の保護団体、アニマルフォスターペアレンツ(以下、アニマルフォスター)が5匹のノルウェージャンフォレストキャットの子猫を保護しました。子猫は生後2カ月半ほどでしたが、明らかに適切な世話を受けていない様子でした。

優雅な猫種なのにエサを食べる姿はまるで野良

このブリーダーが廃業したのは数年前。その後も飼育している猫に適切な世話をしている様子はなく、避妊去勢手術をしないままで、この5匹の子猫が生まれたそうです。どの子猫もやせ細り、皮膚がボロボロ。医療ケアだけでなく、エサさえも満足に与えられていなかったようでした。

すぐにエサを与えると、5匹はいずれも目を変え、唸りながらガツガツと食べ始めました。

優雅にも映るノルウェージャンフォレストキャットの子猫たちですが、エサを食べる様子はまるで野良。過酷な生活を強いられていたということです。

栄養失調でワクチンが打てる状態ではなかった

5匹を動物病院に連れて行くと、いずれの子猫も心臓、関節、視力などには問題ない一方、共通するのはやはり皮膚疾患と栄養失調。すぐにワクチンを打てるような状況ではなく、しばらくは栄養価の高いエサを与え、元気になったところで実施することになりました。

本来、きちんと1匹ずつ等しく尊い「命」を大切に考える人間であれば、この5匹の子猫のような事態にはなりません。今回の5匹の子猫の様子から、いくらブリーダーが廃業したからと言っても、それでめでたしというわけではないことを痛感します。廃業後の繁殖引退犬や繁殖引退猫がどうなっているか、避妊去勢手術などをきちんと行なっているのかなども、さらに注目していくべきだとも思いました。

アニマルフォスターのメンバーはこう言います。

「高値で販売されている純血種の繁殖の裏の世界を垣間見ました。法律が変わっても救えない命は山のようにあります。言葉を持たない者たちが苦しむ……1日も早く、そんなことが終わりを告げるよう祈るばかりです」

5匹の子猫たちは献身的な世話、適切な医療ケアを受けた後、健康になったところで里親探しが始まります。生まれて間もなく適切な世話を受けさせてもらえず、エサさえも満足にもらえなかった5匹それぞれが、安心して過ごせる環境をつかんでほしいと思います。

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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