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「妊娠しろ、と押しつけがましい嫌な感じ」 京都府の出前授業に学校現場から声

まいどなニュース 2024年7月6日 17時0分

京都府はこのほど、将来の妊娠を考えながら生活や健康に向き合う「プレコンセプションケア」を推進するため、検討会の初会合を府職員福利厚生センターで開いた。本年度は府内高校生向けの教育プログラムを作成することを確認したが、委員から「『妊娠しろ』と押しつけがましい嫌な感じがする」という出前授業を受けた学校現場の声が紹介され、教育の難しさを指摘する意見もあった。

プレコンセプションケアは、妊娠・出産前の男女に将来の健康管理について理解を深めてもらおうとする取り組み。検討会の委員は、有識者や府医師会、府助産師会などで構成した。

会合では府担当者から、妊娠した15~19歳の人工妊娠中絶を選ぶ割合が府内では65%に上り、一定数が予期せぬ妊娠である可能性がある一方、府内で不妊治療の開始年齢は35歳以上が7割を占め、不妊治療では35歳前後から妊娠率が低下し、流産率が増加することなどの報告があった。

府は若年期から妊娠に関する正しい知識を身に付けてもらうため、小中高校への出前授業を府医師会と府助産師会に委託して実施しているが、府内の高校107校のうち出前授業を実施できたのは5校(2022年度実績)で、小中学校を合わせても40校にとどまっている。府こども・子育て総合支援室は会合後、「医師会と助産師会のマンパワーにも限界がある」と説明した。

高校での教育内容について、委員からは「望まない妊娠を前面に出さず、産みたいときに産める体作りの重要性を伝えていくことが最初の目標」「学校側は高校生に妊娠させることがあってはいけないと一生懸命になる時もあるが、そうではなく、(妊婦は)ケアされるべき人間だというメッセージ性を伝える必要がある」といった意見が出た。一方、実際に出前授業を実施した際、妊娠を促しているような印象がある、とする学校現場からの声も紹介された。

今年秋にはモデルとなる高校を選定して教員や生徒の声を聞き取り、来年2月に教育プログラムの最終案をまとめるとした。

(まいどなニュース/京都新聞)

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