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「It’s all right(大丈夫)」 原田マハさんを励ました小さな紙 フォーチュンクッキーのメッセージを書き下ろす理由とは

まいどなニュース 2024年7月21日 19時40分

 〈その荷物、いっぺん、下ろしてみたらいい〉 クッキーに挟まれた小さな紙片の言葉が「自分をいたわることが大切だよ」と寄り添ってくれる。心温まるメッセージは岡山ゆかりの小説家原田マハさん(62)の書き下ろし。岡山市と京都市だけで店舗販売しているフォーチュンクッキー(おみくじ入りの菓子)で「小さな幸せを届けたい」という原田さんの願いが込められている。

 米国で風習を知った原田さんがプロデュース。薄く焼いたクッキーに30種類あるメッセージから一つをランダムに入れて四つ折りにしている。

 〈自分へのごほうびは、たっぷりと、遠慮なく〉〈窓を開けよう。今までと違う風景が見えるかもしれない〉

 疲れたり、将来に悩んだり、後悔していたり。いろいろな状況の人を想像しながら記した言葉はどれも優しい。何が出るかは“運次第”で、おみくじ感覚で楽しめる。

 「フォーチュンクッキーに励まされた経験が物書きになる一つの原点」と話す原田さん。40歳の頃、米ニューヨークの中華料理店で食後にもらったクッキーの中に「It’s all right(大丈夫)」と書かれた小さな紙が入っていた。

 ちょうど美術館勤務を辞めて独立したタイミング。「漠然とした未来に不安を感じていたけど、自分を信じて進めば大丈夫だと思わせてくれた。言葉が持つ力を感じ、文章を書くことで人を元気にする仕事がしたいと思った」と振り返る。

 商品名は「こと葉」。原田さんのロングセラー小説「本日は、お日柄もよく」の主人公・二ノ宮こと葉から取った。スピーチライターを描いた仕事小説で、言葉の力を信じる主人公とフォーチュンクッキーを重ねている。

 父親の転勤で小学6年から高校まで岡山市内で過ごし「第二の故郷の岡山で、多くの人に受け取ってもらえると幸せ」と原田さん。古くから付き合いがある城下カフェ(岡山市)の市内2店で取り扱い、直筆メッセージも掲示している。

 クッキーはいりごまの香ばしさと優しい甘さが特長で、4個入り1400円。問い合わせは城下カフェ表町店(086―231―1800)。他に京都市のセレクトショップ1店とオンラインで販売している。

(まいどなニュース/山陽新聞)

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