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ラジオ体操フルでやったら、成人女性1日の半分の運動量になるって本当? 全国ラジオ体操連盟に聞いてみた

まいどなニュース 2024年7月27日 7時10分

「成人女性だとラジオ体操を第一第二と通しできちんとやれば1日の半分の運動量を確保できるらしいですね」

 こんなポストがXに投稿されて、「まじか…やるしかないやろ…」「ラジオ体操本気でやると汗だくになるよね」と8万をこえる「いいね」がつきました。

 投稿した「賽骰だいす@25年LotRoy参加予定」(@Saikoroid)さんは、「福祉関係の仕事をしているので、リハビリ関係者から聞いたはずなんですが、もしかしたら間違っているかもしれない」と、運動量について自信はないものの、職場で利用者と一緒にラジオ体操をしていると「思っているよりキツくて毎回びっくりするので、ラジオ体操はバカにできない強度があるよ」という想いでポストしたと話します。

 ラジオ体操は、1928年(昭和3年)に「かんぽ生命保険」の前身である「逓信省簡易保険局」がさきがけとなり、国民の健康保持推進のために「国民保健体操」を制定。同年11月1日に東京中央放送局がラジオ体操の放送を開始しました。2028年には100周年を迎える、馴染みの深い体操です。

 実際にラジオ体操をするとどのくらいの運動量になるのか、ラジオ体操・みんなの体操の普及推進に向けた活動をおこなう『全国ラジオ体操連盟』に聞きました。

──ラジオ体操の所要時間はどのくらいですか?

 ラジオ体操第1は13種類の運動をおよそ3分間で行い、できるだけシンプルで分かりやすい運動で構成されています。ラジオ体操第2は第1とほぼ同じ3分間で13種類の運動で構成されています。運動量は第1体操より強度が増しています。

──合計で6分の運動になりますが、成人女性の1日の運動量の半分くらいになるのでしょうか。

 現在の健康づくりに関する中心的な指針として活用されているWHO身体活動ガイドラインに基づき「ラジオ体操が1日の運動量の半分を確保できるか」についての考え方をお答えしたいと思います。

 WHOのガイドラインでは、18歳から64歳の成人に対して、以下のような推奨がなされています。
・週150分以上の中等度の有酸素運動または週75分以上の高強度の有酸素運動、もしくはそれらの組み合わせ。
・中等度の運動の場合、さらに週300分に増やすことで追加の健康効果が得られる。
・筋力トレーニングを週に2日以上行うこと。

 次にラジオ体操の位置付けですが、ラジオ体操第一と第二は、全身を使った有酸素運動であり、一般的には中等度の運動と考えられます。これらを合わせて行うと、約6分程度の運動になります。

 ラジオ体操をWHOのガイドラインに基づいて計算すると、
・週150分の中等度の運動は、1日あたり約20分の運動が必要。
・ラジオ体操第一と第二を毎日行うと、1日6分程度の運動となります。
つまり、ラジオ体操第一と第二を毎日行うことで、1日の推奨運動量の30%程度を達成できる計算になります。

──1日の運動量の半分まではいかないという結果なのですね。

 ガイドラインをある程度満たすためには、ラジオ体操に加えて、さらに他の中等度以上の運動や筋力トレーニングも組み合わせることが重要です。

──6分で30%なら、する価値があると感じます。

 WHO身体活動ガイドラインでは歩行、家事などの生活動作も運動量として含めています。一般成人(18~64歳)の方ですと仕事の通勤や家事・買い物などの徒歩も生活動作に含まれています。東京都HPなどは、そういった一般的な生活に合わせて、1週間60分程度の運動をプラスと示しています。日々の生活で体を動かしていれば、ラジオ体操を毎日の生活に取り入れて頂くことで望ましい運動量の確保が期待出来ます。

──なるほど。普段から階段を積極的に使用するなどしてしっかり体を動かすことを意識して、ラジオ体操に、プラス10分ほどの中等度の運動をすれば、成人の1日の運動量のガイドラインに近づきますね!

 ラジオ体操は脚筋力を鍛える運動が不足しています。そのため全国ラジオ体操連盟では1999年に来るべき高齢者社会を見据えて「みんなの体操」を作成し普及しています。この体操は、ラジオ体操にはない脚筋力を養う運動や高齢者、障害者の方でも安全に運動を行えるようにゆっくりとしたテンポの運動が中心です。運動量を確保するためにもラジオ体操とプラスしてぜひ活用して頂きたいです。

 ◇ ◇

 ちなみに「みんなの体操」は4分ほどなので、ラジオ体操第一・第二と一緒におこなえば約10分の運動になり、毎日おこなえば1日の成人の推奨運動量の半分くらいになります。

 全国ラジオ体操連盟では、ラジオ体操第一、第二、みんなの体操をYouTubeで配信しています。体操するときのポイントは「ラジオ体操の13の運動について、それぞれのねらい(主にターゲットにする体の部位)があります。体を動かすときに体のどの部位を動かしているかを意識しながら行うことで、運動量を上げる事ができます」とのこと。

 特にラジオ体操第一では「1番目 背伸びの運動」で、体全体をしっかり伸ばして、良い姿勢を作る事を意識。また、第一第二ともに「6番目 体を前後に曲げる運動」が、「腰痛などを予防するためにも体を前後にしっかり動かす事が重要なポイントです。特に体を後ろに反らせるという動きは日常動作では行わない動きです。普段の生活では使わない筋肉を動かすことで柔軟性を高め、しなやかな体作りに役立ちます(※腰痛の方は無理をしないように注意してください)」としています。どちらもポイントを解説する動画がありますので参考にしてください。

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・太田 浩子)

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