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1000点もの無料素材…自由に組み合わせて漫画をつくろう 創作のハードル下げる「まんがのそざい」公開した思いは

まいどなニュース 2024年8月4日 11時50分

1000点を超える「まんがのそざい」が無料で、しかも加工が自由、素材を使って制作した作品の商用利用もOKだという。素材を提供する漫画専門制作会社の画屋(かくや)さんに、その狙いについて聞いた。

漫画を制作するために必要な素材が1000点以上

「まんがのそざい」のWEBサイトを開くと、シンプルな線で描かれた人物や背景の漫画素材が、シチュエーション別に並んでいる。たとえば「感情」の中にある「喜」というジャンルを開いてみると、「いひひと笑っている」「壁ドン」「勝った」など、それぞれにポーズをとる人物の絵が出てくる。「怒り」の中の「ちゃぶ台返し」を開くと、ちゃぶ台をひっくり返す絵もあって、人の日常・非日常を問わず表す感情表現が網羅されている。

他にも「医療」「農業」「インターネット」「学校」「飲食」など、日常のあらゆる場面で想定される動作や状況のほか、イス、机、台所用品など生活アイテムなどもあって、総数は1000点以上。これからも少しずつ増やすという。

これらの素材を単体で使うもよし、組み合わせるもよし。あるいは自分でアイテムを描き加えたり、色を付けたりして、ストーリー漫画やプレゼン資料など、使い方は自由だ。

「素材を使って制作された漫画は、個人でも会社でも、WebサイトやSNSにアップしたり、印刷して配ったり、目的を問わずお使いいただいてOKです」

ただし、「こんな使い方はNGです」というガイドラインは、もちろんある。それは「他人をイヤな気持ちにさせない」「他人を傷つけない」「犯罪に使わない」「素材のまま配布しない」の4つ。

また著作権については、素材を使って制作された作品には「二次著作権」が発生する。だが、素材の著作権はあくまで画屋さんにある。

「使用・加工はフリーですが『まんがのそざい』配布素材の著作権は画屋にあります。原型を留めないほど魔改造されていても著作権は譲渡しません」

漫画を描くことのハードルを大きく下げたい

画屋さんは2002年に大阪府豊中市で個人事業からスタートし、企業から注文を受けて販促資料や広告に使う漫画の制作を請け負っている。

「まんがのそざい」を無料で提供するに至った背景には、コロナ禍で企業活動が鈍化して受注が減ったため、活路を拓くためだったという。

「コロナ禍でイベントがなくなって、広告を出される機会が減りました。どうしようかと考えたときに、とにかくこちらのサイトに来てもらうために無料で使っていただけるアイテムを用意したのが最初です」

そして2022年8月に「まんがのそざい」を公開した。

人物の素材は「まめ」というキャラクターで、性別や年齢は設定されていない。老若男女どんなキャラクターでも、使う人が思い通りに設定していいのだ。

「基本的なポーズは何が必要かリストアップし、半年ほどの準備期間を経て、アイテム数500~600点からスタートしました」

素材を探しやすいように、検索ワードもシンプルに設定されている。

WEBサイトで公開されている素材は無料だが、利用者から「こんなポーズを描いてほしい」というオーダーがあれば、有料で制作してくれるそうだ。

想定する利用者像を尋ねてみた。

「クリエイターさんや技術的に未熟な漫画家さんなどが、仕事を取って収入を得られる手段のひとつになっていけばいいのかなというところを目標にしています。また、プレスリリースにも使っていただけたら、他社との差別化が図れるのではないかと思います」

人が受け取る情報の9割近くが視覚から。漫画を活用すれば、より強いインパクトを与えることが期待できるという。

漫画を制作するとなれば、これまでは費用や日数がかかるなど、ハードルが高いイメージがあった。しかし、こうしてフリーで使える素材が用意されたことで、漫画を描くことが苦手な人も素材を組み合わせれば漫画をつくれるようになった。

「便利な道具を手に入れたと思っていただいて、付加価値をつけてもらえたらいいなと思っています。ご自身でやるのもいいですし、我々と一緒にやっていただくのもいいですし、この素材を使って、皆さんのお仕事や活動に付加価値をつけたり想いもしなかった発想が生まれたりしたら嬉しいです」

ご覧の通りシンプルな線で描かれているから、イメージしだいでどんな形にも化けさせることができるため、アイデアを膨らませて自由に楽しんでほしいそうだ。

(まいどなニュース特約・平藤 清刀)

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