オスのトイプードルのセロリくんは鼻に褪色していないブラウンの毛色が残り、そのモフモフの毛と合わせてまるでコアラのような見た目です。人間が近くにいるとホッとするのか、笑顔を浮かべる甘えん坊でもあります。
こんなにかわいいセロリくんですが、実は想像もできない過去を持つ保護犬でした。
毛玉だらけの体で放浪していたワンコだった
群馬県のとある地域で、毛玉だらけの体でヨタヨタと放浪していたセロリくん。トイプードルなので人間の元にいたはずですが、一度もトリミングをされた形跡はなく、マイクロチップも未挿でした。
群馬県動物愛護センターに収容され、さらに保護団体・Delacroix Dog Ranchでお世話を受けることになりました。
ケージ内で回り続ける様子が示す「過去」
保護されたセロリくんは、すぐに体をきれいに洗ってもらい、団体と提携する預かりボランティアさんの元でお世話を受けることになりました。
預かりボランティアさんはセロリくん用のケージを用意。その中に入れたところ、セロリくんはグルグルグルグル回り続けました。ケージなどの室内の中で回り続けるワンコは、繁殖場などでずっと狭い檻の中で過ごした過去を持つことが多いもの。狭い室内でも「少しでも自由に過ごしたい」「体を動かしたい」と回り続けることが多いわけですが、このことからセロリくんは繁殖場出身と思われました。
脱走したか、繁殖場の人間が意図的に棄てたかのどちらかでしょうが、ケージの中で回り続けるセロリくんの姿に切なくなります。
家庭犬としては十分すぎるお利口さん
しかし、当のセロリくんは人間と目が合うとまたニコニコ。家でフリーで過ごす時間には、足元に体をすり寄せてきたり、オモチャで思いっきり遊んだり。つらい過去を想像させないほどの明るさでした。
散歩はかなり下手でしたが、程なくしてマスター。聞き分けも覚え、家庭犬としてリスタートを図るには十分すぎるお利口さんでした。
優しい里親さんの元で第二の犬生の一歩を踏み出した
そして、「うちにおいで」の声がかかりました。里親希望者さんは明るい性格とかわいさに一目惚れしたと言い、これからのセロリくんの犬生に、最後まで寄り添い続けたいとも言ってくれました。
果たしてセロリくんは、この優しい里親さんの元で第二の犬生の一歩を踏み出しました。しばらくお世話になった預かりボランティアさんの家から巣立っていく際も、セロリくんはやっぱりニコニコ。
その笑顔は「いつも一緒にいてくれてありがとうね。これから僕はもっと幸せになるよ!」と言ってくれているように映りました。
(まいどなニュース特約・松田 義人)