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南海トラフ地震への備えに注目!…水なしで3日間の歯磨きが可能な『無水ハミガキ』セット

まいどなニュース 2024年8月31日 19時2分

災害時には何より貴重になる水を使わずに、歯を磨ける「無水ハミガキ」が、発売から約1年半経った今、注目されている。今年1月に発生した能登半島地震の被災地へ支援物資として送られたほか、今年8月8日16時43分頃に発生した、日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震発生に伴う「南海トラフ地震関連解説情報」が出たときも、問い合わせが殺到したという。「無水ハミガキ」を開発したのは、大阪府八尾市に本社を置くヤマトエスロン株式会社。同社の研究開発部に話を聞いた。

支援物資が届き始めるまでの3日間を想定

水を使わずに歯磨きができて、しかも最後は口をゆすいだような爽快感もあるという「無水ハミガキ」のセット内容は、思いのほかシンプルだ。

長さ10cmの小さな歯ブラシとフロスが6本ずつと、10枚入りのハミガキシートが1袋。そしてセットの使い方と歯磨きの大切さを説明したリーフレットが1冊。歯磨きを朝と夜の1日2回行うとして、1セットで3日分を想定した内容だ。

地震などの災害が発生して道路やライフラインが寸断された場合、公的機関から支援物資が届くまで最低3日程度かかるといわれており、東京都が発行する防災ブック「東京防災」には、備蓄品の目安として3日~1週間分を用意するよう記載されている。また、大阪市も自助努力として最低3日分の備蓄を、ホームページで呼びかけている。

「セットの中身は、それぞれ単体でも手に入るものですが、使いやすい形でパッケージにしたのは初めての試みです」

神戸市を拠点に防災啓発に取り組んでいるNPO法人や歯科衛生学を研究する大学教授などの協力を得て、約2年の歳月をかけて開発。2023年3月から発売が開始された。

「無水ハミガキ」の強みは、その名が示す通り水を使わずに歯磨きができること。また、必要量をコンパクトにまとめたことにあるという。

「歯ブラシが小さいことと、必要最小限の数量がセットになっていることがメリットです、携行しやすい大きさと量になっています」

今年1月1日に発生した能登半島地震では、NGO団体や自治体を通して合わせて2000セットが被災地へ送られたそうだ。

使用法は「磨く」「かき出す」「拭き取る」の3ステップ

水を使わずに、どうやって歯を磨けるのだろうか。同梱されているリーフレットには、手順が3ステップで説明されている。

▽ステップ1

歯の汚れが溜まりやすい噛み合わせ部分、歯と歯の隙間、歯と歯茎の境目を意識してブラシで磨く。ブラシに歯磨き粉はついていないが、汚れは落ちるそうだ。

▽ステップ2

一般的なフロスの使い方と同じで、歯と歯の間の汚れを除去する。

▽ステップ3

歯ブラシとフロスで、汚れや口の中全体を「ハミガキシート」で拭き取る。水分量が多く含まれ、キシリトールが配合されているため、口をゆすいだ後のような爽快感がある。最後に舌の汚れを拭き取ることで、口臭の予防にもなるという。

リーフレットの説明は平易な文章で、しかも大きめの文字で印刷されている。

「高齢の方にも読みやすいように大きめの文字にしたことと、イラストだけを見ていただいても、ある程度は内容が分かるような仕様にしています」

現在は主に楽天市場や歯科専門のECサイト、ヨドバシカメラのECサイトなどで入手できるが、9月からはロフトで店頭発売(一部店舗除く)も始まるそうだ。それに合わせてハミガキシートのパッケージ素材を、現行のプラスチックシートからアルミに変更するという。

「プラスチックシートでは使用期限が3年でしたが、アルミのパッケージになることで成分の蒸散を防げるため5年に延びます」

防災意識が高まっている今、研究開発部の担当者は「オーラルケアに意識をもっていただいて、防災グッズの中に備蓄していただければ嬉しい」と語る。

(まいどなニュース特約・平藤 清刀)

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