使おうと思った調味料が容器の中でカチコチに固まり、困った経験のある人は多いはず。そんな困りごとを解決してくれると人気を博しているのが調味料専用の乾燥剤「カタマラーーン」だ。製造元は滋賀県に本社を構える医薬品専用乾燥剤で有名な山仁(やまに)薬品。コロナ禍後、調味料市場が拡大したことに注目し、調味料専用乾燥剤を発売したところ評判になった。山仁薬品の3代目社長、関谷康子さんに話を聞いた。
主力商品乾燥剤「ドライヤーン」に続いて
“湿気の国”と呼びたくなるほど、この夏も湿度に悩まされている日本は、乾燥剤の需要も高い。なかでもシリカゲルは毒性がなく、安全性が高いことが特徴で、広く一般に用いられている乾燥剤である。
そのシリカゲルがアメリカから日本に上陸したときに、山仁薬品の初代社長が西日本での独占販売権を取得。以来、乾燥剤であるシリカゲル製品の製造と販売を行ってきた。主力製品はシリカゲルを活用した分包品やタブレット状、シート状の乾燥剤「ドライヤーン」だ。そして、3代目の関谷康子社長の代で、医薬品業界への販売に力を入れ、いまや大手製薬会社が主な取引先になっているという。
コロナ禍で広がる新たな乾燥剤の市場に着目
もっとも、山仁薬品も例外なくコロナ禍に見舞われた。順調に伸びてきた医薬品専用乾燥剤だが、もしも将来、乾燥剤市場が縮小した時のことを考えて、新しい市場の模索も始まっていた。
「医薬品業界のトップシェアでも、一般消費者のドライヤーンの認知度は低い。乾燥剤市場の心配をする前に、湿気に悩まされる一般消費者に自社が貢献できることはたくさんあるはず」という関谷社長が注目したのが調味料市場だった。
「コロナ禍になり、キャンプ需要や家時間が増えました。そうなると、お料理をする機会が増える。そんななか必要とされる調味料が頭に浮かびました」
調味料といえば「湿気で固まりやすい」という声が専ら。関谷社長はそこに乾燥剤の市場があると確信し、調味料専用の乾燥剤づくりへの挑戦が始まった。
調味料専用乾燥剤「カタマラーーン」誕生
山仁薬品がこれまでに手がけてきたシリカゲルの乾燥剤は医薬品業界に寄り添った品質管理や品質保証期限、BCP対策にも力を入れ、分包・タブレット・シート製品があることで、お客様の要望に応じて柔軟に対応できる強みがあった。
そこでシリカゲルを錠剤型に形成する独自技術をいかし、今回の調味料専用乾燥剤「カタマラーーン」もタブレットタイプにして販売することにした。というのも、形が整っているので、ビンやその他の容器にも対応できるからだ。
サイズも調味料の小ビンの口にも対応できるように直径×厚み13×6mm(15個入り)、15×6mm(10個入り)、18×6mm(7個入り)の3タイプを用意している。使用方法は簡単。タブレット1個を使いたい調味料の容器に入れるだけだ。
調味料が「いつまでもサラサラ」
ユーザーの反応も上々である主婦は「湿り気ですぐ固まる天日塩やスパイス類に使用しました。開封後の調味料の固まりや変色を防いでくれる上に、サラサラをいつまでも保ってくれるのがうれしい」と話す。
関谷社長も「一般の方に安心して使ってほしいと思い、開発したのが今回の調味料専用の乾燥剤カタマラーーンです。私自身、家で使用していて、本当にしっかりと調味料を守ってくれると重宝していますし、あの嫌な固まりともさようならです」と手応えをつかんでいる。
実際、記者も使用したが料理の際のストレスを軽減し、食品ロス削減にも貢献してくれるうれしいアイテムだと感じた。もう、ナヤマーンで済みそうだ。