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5時間も新幹線が立ち往生、ある乗客の行動に…思わず笑顔 「大変な時の小さな親切は染みる」「災害時の助け合いは素敵」 

まいどなニュース 2024年9月3日 7時35分

歩みの遅い台風10号は日本列島各地に被害をもたらしています。安全をとって新幹線では計画運休が行われましたが、今回どうしても仕事のため移動を余儀なくされたカナダさん(@tkn0407inym)は、不運なことに新幹線に閉じ込められてしまいました。でも、そんな過酷な状況下でもちょっぴり良いことがあったようで、その時のことをX(旧Twitter)に投稿すると、「心温まるエピソード」「ほっこりした」と話題が集まりました。

「乗客の一人が『お土産で渡せなくなってしまったので、よければ食べてください』と、今日賞味期限きれる大福を乗客の皆さんへ配っていた。東京へ行けなくなった新幹線、行く当てを失ったのは乗客だけではなく、こういったお土産も…。いままで食べた大福で一番おいしかったかも!」

こんなコメントと共に添えられた写真には、とてもやわらかそうな大福餅が写っています。

「災害の中でこういう些細な気配りが身にしみる……」
「不安もある中でこう言った行動は嬉しいですね!甘いものに癒やされる〜」
「そういうところの良さも含めて新幹線ていいよなぁ。悪いこともあるけど隣の席の人がいい人だったりすると良かった…って思うもんな」
「こんな振る舞いできるのステキ」
「ちょっとイライラしてしまうときに、甘いものの救世主!」
「大変なときにこういう小さな親切、本当に心に沁みますね。最高の思い出」
「少し前ってこういう親切って至る所にあってホントにいい国だったんだなって思うよ。まだ少しだけど残ってるんだね」

衛生面に対しての意見もありましたが、雨で長時間立ち往生し疲れ切った車内の空気を変えた出来事に、多くの方が「大福餅を配った人の気遣いに感動した」というご様子。実際、どういう状況だったのか、カナダさんに詳しく伺いました。

5時間半停車し続ける新幹線、そんな過酷な状況下で、乗客を笑顔にした大福

ーー大変でしたね、お疲れさまでした。東京に向かう予定だったんですか?

「はい、仕事で東京へ行く際、京都から乗った『のぞみ228号』車内での出来事でした。どうしても私が携わらなければいけない仕事のため、やむを得ず東海道新幹線に乗りました。車内はほぼ満席でしたね。もしかしたら途中で止まるかも?とは思っていたのですが、まさか運転打ち切りになるとは思っていませんでした」

ーー新幹線内に閉じ込められたということですか?

「そうです。時系列でいうと、以下のような感じでした。5時間半まったく動かない状態で。結局、およそ8時間、列車の中にいました。ちなみに、この間食事ができないので、あらかじめ東京にいる兄の手土産に買ったマールブランシュの『茶の菓』を、気持ちが落ち着かなくなったタイミングで食べました」

15時16分:京都駅からのぞみ228号に乗車
16時17分:豊橋駅の通過線ホームに停車してしまう(ホームに接していない通過専用の線路上)
21時47分:列車は『通過線』という折り返しのできない線路にいたため、5時間半立ち往生した後、一旦浜松へ出てから名古屋へ引き返すためことに(この間、体調不良など急を要す理由がなければホームへ降りることはできず、車内で孤立状態に)
23時7分:名古屋駅に到着

ーー5時間半!!それは辛いです……。そんな中で乗客の方が配られた大福は、皆さんにとって救いでしたね。配られた時、周囲の反応はどんな感じでしたか?

「そうですね。『お土産で渡す用だったのですが、良ければどうぞ』といって、周りの人全員に配られていて、みなさん笑顔で受け取られていました。みんな手に取ってすぐ食べたり、スマホで写真撮ったりしていました」

ーー大福を配ってくれた方と直接言葉を交わされましたか?

「『ありがとうございます!』と声をかけて遠慮なく受け取りました。写真に写っている大福の右上が、やや凹んでいますよね。これは嬉しすぎてギュッと大福を触ってしまった跡です。

正直、普段は和菓子は好んで食べないのですが、ストレスと疲れからか、和菓子独特の甘味がとても身体に染みました!食べた後、通路をもう一度通られたので『ありがとうございます!美味しかったです!!』と声を掛けたら『嬉しいです!』と、お返事をくださいました」

ーー過酷な状況下で、素敵なやりとりですね。でも閉じ込められて正直、大変でしたよね

「『とにかく外へ出られないこと』が辛かったです。待避線に停まっている電車は駅のホームへ自由に出入りしており、買い物したり外の空気を吸ったり…気分転換しながら過ごしているようでしたが、私の乗っていた新幹線は扉が一切開かず、とにかく密閉されていたため、体調不良を訴える人が数人おられました」

ーーほかにも困ったことなどありましたか?

「ちょうど携帯電話の充電器を持っておらず、電池残量が少なくなり途方に暮れてしまい……。そんな時、隣の座席にいた優しそうな男性が、コードを持ってらしたので、ダメ元で兄のお土産用に買っていた『茶の菓』を片手に『差し支えなければ貸していたいだけないでしょうか?』と頼んだら、苦笑いされながら『いいよ!』と貸してくださいました。これがなかったら割と大変だったかもしれません。大福のお姉さんと同様に、このおじさまにも感謝しております!」

ーーお菓子が繋いだ縁ですね! 閉じ込められて身動きがとれない状態で、ケータイの充電がなくなるのは、本当に大変ですもんね。ちなみに、その後、新幹線は動きましたか?

「乗っていた新幹線は、運行取り止めになり名古屋へ引き返すことに。23時頃に名古屋駅へ到着しました。ちょうど名古屋に実家があったため、翌朝3時に実家から、車で福井県敦賀市へ行き、敦賀駅始発の新幹線で東京へ向かうことができました」

カナダさんは新幹線で乗り合わせた車内の人たちに助けられ、さらには北陸新幹線を使うという機転を利かせて、無事に東京へたどり着き何よりでした!今回のお話を伺い、筆者は「手土産とモバイルバッテリーは必須だな」と密かに心に留めました。

ちなみに、配られた大福餅は「当日は全く知りませんでしたが、ポストが拡散されて、コメント欄でお店を紹介してくださった方がいて、どちらの大福餅か知ることができました」とのことで、名古屋の和菓子店「小ざくらや一清」のものだったそう。ちょっと食べてみたくなりました。

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・東寺 月子)

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