トランスフォーマーシリーズ最新作『トランスフォーマー/ONE』で、洋画吹き替え版声優に挑んだ女優の吉岡里帆。映画、ドラマ、舞台へと出演作が続くなか、作品ごとに常に新たな表現でファンを驚かせているが、どんな思いで俳優業に挑んでいるのだろうか――。30代に突入し変化した部分と、デビュー当時から変わらずにいる部分について語った。
自分の持っている一面を観て楽しんでもらえるといいな
幼少期から芸術や文化に触れていた。学生演劇にも参加するなど、モノ作りへの思いは強い。「元々この世界に入った理由は、裏方というか技術の方々の格好良さに感動したから。一人一人が誇りをもって作品作りに参加している姿が大好きなんです」。
だからこそ、荘厳な映像美で見せるアニメの世界や、『トランスフォーマー/ONE』のような世界トップレベルの技術者たちが集まり、丹精込めて丁寧に作り上げた映像美の世界に自分が参加できることが「とにかく光栄ですし感動しました」と喜びもひとしおだったという。
こうした考えはデビュー当時から現在までまったく変わっていないという。吉岡は「自分自身をどう見せるかというよりも、作品に寄り添っていくスタイルが好きなんです」と語ると「もちろん自分を見せることは大事だとは思いますが、それは後からついてくるもの。自分が作品のためにできることを考えて捧げる」ことが吉岡にとっての充実感につながるという。
そんな柔軟性があるからこそ、クリエイターたちは吉岡の多面的な魅力を深掘りしようとさまざまな役柄を託す。出演作は続くが「次はどんな役をやるんだろう」と期待を抱かせてくれる稀有な存在を確立している。
「デビュー当時からお客さんに、自分の持っている一面を観て楽しんでもらえるといいなと思っています」と作品に参加するモチベーションを語る吉岡。視聴者に“楽しんでもらいたい”という思いにブレはない。チャレンジする歩みは止めない。
「所属事務所が変わりましたが、根っこの部分の挑戦は変わらず続けていきたいです。新鮮なこと、新しいことに注力することで、伝わるエネルギーもあると思うんです。なんとなくですが、お客さんにもしっかり受け取っていただけるのかな……という。願いに近いのかもしれませんが、そんな期待もあります」
松たか子の包容力とチャーミングな姿に影響!
30代に突入し変化してきた部分も感じている。吉岡は「現場で年下の方とご一緒する機会が増えてきました」と笑うと「いままではずっと先輩方に囲まれながらの仕事だったのですが、後輩をサポートしたり、自分が先輩にしていただいたことなどを考えたりする時間が増えました」と語る。
20代は「とにかく一生懸命にやるというスタイルだった」と振り返ると「30代からの10年間は、これまでやってきた一生懸命さは忘れずに、それにプラスして『この人と一緒にやっていきたいな。この人についていったら大丈夫だ』と思ってもらえるような説得力のある存在、現場を引っ張っていける力をつけていきたい」と30代の抱負を述べる。
吉岡が理想の存在として憧れる先輩のひとりが、松たか子だという。吉岡と松は、2016年放送のドラマ『カルテット』で共演している。
「先日松さんと久しぶりに少しお会いする機会があったのですが、当時とまったく変わらずピュアな気持ちで仕事に向き合われている姿と、包容力がさらに増しているように感じました」
頼りになる先輩でありながら「お話すると本当にチャーミングで可愛らしいんです」と松を絶賛する吉岡。さらにドラマで吉岡と共演した際のことを鮮明に覚えてくれていていた視野の広さにも感銘を受けたという。そんな松の姿を見て「私も後輩や緊張されている方がいたら『大丈夫!一緒に面白いものを作っていこう!』と声を掛けられるような先輩でいたいです」と思いを語った。
映画『トランスフォーマー/ONE』は9月20日より全国ロードショー
(まいどなニュース特約・磯部 正和)