千葉県我孫子市内の線路沿い。電車が通るたびに「ガタンゴトン」と音がしますが、合間に「ミャーミャー」という子猫の鳴き声が聞こえてきます。
一瞬「ん?」と思うものの、電車が通るとその声はかき消されます。しかし、耳を澄ましてみるとやはり微かに子猫の鳴き声が……。よくよく見ると線路沿いの草むらの中に、小さな子猫がいました。
相談に乗ってくれた警察官は、偶然にも保護猫を飼っていた
電車の往来があり近づくことはできず、また人間に驚いた子猫が飛び出すと、電車にはねられることも考えられます。
子猫を発見した人は「どうしたら救うことができるか」と考えあぐねました。名案は浮かばず、助けを求めて近所の交番へ。対応した警察官はたまたまプライベートで保護猫を飼っているといい、すぐに現場に来てくれることになりました。
心ある人と警察官は、子猫が線路側ではなく、反対側に動くよう促しましたが、ここでも苦戦。警察官は「猫の捕獲」に長けている地元の保護団体・ねこ友会に捕獲のサポートを相談。相談を行けた代表と団体の会員さんは急いで現場に駆けつけました。
興奮する子猫をなんとか無事に捕獲!
警察官・団体2名の3名が草むらを囲むも、子猫は警戒してなかなか顔を出してくれません。線路と反対側からエサなどを子猫に見せ寄って来るよう促しました。周囲を人間に囲まれる格好となった子猫は「シャーシャー」と興奮。子猫を落ち着かせながら誘き寄せるべく、あうんの呼吸で3人が子猫に対峙。「大丈夫だよ。怖くないよ」とエサを見せておびき寄せ、なんとか子猫を無事に捕獲することができました。
団体代表は、興奮気味の子猫に手を噛まれてしまいましたが、「私のけがよりも、子猫の命を救えて良かった」と捕獲できた子猫を前に目を細めていました。
威嚇気味だった子猫は、やがて人間を信頼するように
救われた子猫はそのまま団体に保護されることになり、団体提携の預かりボランティアさんの家に迎え入れられました。
初日の晩こそ「ここから出せ」「私に何をするんだ」と鳴きわめく子猫でしたが、翌日になるとエサをいっぱい食べ、預かりボランティアさんに心を寄せてくれるようになりました。そして、ここまでの経緯から子猫の中に「人間に助けてもらえたんだ」という自覚が芽生えたのか、捕獲当初とは打って変わって人間に甘えるようにもなりました。
後に無事スクスク成長し、後には優しい里親さんに迎えられ、温かい家庭で幸せな猫生を送ることになりました。
線路沿いの草むらの中にいたときは手に汗を握る思いでしたが、ここまでの通り、市民・警察官・団体代表という心ある人たちの連携で救われた小さな命です。温かい家庭で幸せな猫生を掴んでくれて本当に良かったと思いました。
(まいどなニュース特約・松田 義人)