「水卜」麻美アナウンサー
今や日本テレビを代表する…というよりも、民放を代表する女性アナウンサーの一人となった水卜(みうら)麻美アナ。
オリコン調査「好きな女性アナウンサーランキング」では、2013年から2017年まで5年連続で1位を獲得。明治安田生命調査「理想の上司ランキング」でも7回連続1位になるなど、高い好感度を保っている。
この「水卜」という名字は極めて珍しい。本人は千葉県出身だが、この名字は香川県にごくわずかにあるだけだ。「水卜」の「卜」はカタカナの「ト」ではなく、漢字の「卜(ぼく)」。「卜」は「うらなう」という意味で、「占」と同じ意味。つまり、「水卜」とは「水占」のことだ。
「水占」は「みずうら」とも「みなうら」ともいい、古代から行われていた占いの一種である。
水の増減や清濁、或いは水にもみや豆などを落として、その沈み具合で占うなどともいわれ、具体的にどうやっていたのかははっきりしない部分が多い。また、地域によって占い方が異なっていたともされる。いずれにしても、川辺などの水の流れで占っていたらしい。
「水卜」は、お寺などこうした水による占いを行っていたことに由来する名字であると考えられる。
「安住」紳一郎アナウンサー
一方、男性アナとして人気が高いのがTBSの安住紳一郎アナ。役員待遇という肩書でもある。
「あずみ」という名字は古代豪族安曇(あずみ)氏の末裔で、いろいろな漢字を書く。その中で現在最も数が多いのが「安住」である。
古代豪族の安曇氏とは、筑前国糟屋郡安曇郷(現在の福岡市)をルーツとし、海神である綿津見命(わたつみのみこと)を祖とする海の一族である。
安曇氏は「漢委奴国王印」の金印が発見されたことで有名な志賀島を本拠として、大陸とも交易があった。『日本書紀』によると、応神天皇の時代に安曇大浜が各地の海人の騒ぎを鎮めたことで海人の宰(さい=長官)に任じられたという。
志賀島にある志賀海神社は、全国の綿津見神社の総本家で、現在でも安曇家が社家を務めている。
安曇氏は後に各地に移住、長野県の安曇野をはじめ、「あずみ」「あつみ」などの地名は安曇一族の移住先であることが多い。
◆森岡 浩 姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部卒。学生時代から独学で名字を研究、文献だけにとらわれず、地名学、民俗学などを幅広く取り入れながら、実証的な研究を続ける。NHK「日本人のおなまえっ!」にコメンテーターとして出演中。著書は「47都道府県名字百科」「全国名字大事典」「日本名門名家大事典」など多数。