「学校の作文ってさ、『思ったまま書けばいい』ってみんな口ではそういうけど、『何も感じなかった、ただ退屈だった』みたいな感想は絶対に受け入れられないから、自分の中に存在しない先生が求める優等生的な感想を捏造して書かなきゃいけない気持ち悪さに耐えられなかった思い出」
子どもの頃に学校で書いた作文の思い出について、ライトノベル(ラノベ)作家のジャジャ丸さん(@R_jajamaru)がX(旧Twitter)に投稿。当時「思ったまま書けばいい」と言われつつも、先生の思惑通りに感想を書き上げないといけないジレンマがあったことを吐露したところ、共感するコメントが多数寄せられ、話題になりました。
「先生が求めるものが自分の求めているものだと錯覚してた優等生時代を思い出しました…!」
「先生が求めるものが自分の求めているものだと錯覚してた優等生時代を思い出しました…!自分の本心がわからなくなっていく…!」
「今にして思えば、アレは上の人間に忖度して、読みたいであろう文書を仕上げる訓練だったのかなって気がしてきた」
「図工や体育もそうだけど基本的な技術や考え方を教えることをサボって『子供の自由な発想は素晴らしい』というファンタジーを押し付けてくるけど実際は自由じゃなくて正解がある」
「思ったまま書いたら、『素晴らしいのでコンクールに出す。だからここを直せ』と教師の望む形に何度も書き直させられ、歪になった何かは結局コンクールに出されることもありませんでした。ただただ苦痛な作業でしたよ……」
「教師自身が『文章の書き方』を知らないから『思ったまま書きなさい』しか言えないんですよね。指導ができない。そして文章の書き方を知らないから、『文章の評価方法』もわからない。結局教師の好みでしか判断できない」
「わかります、自分も読書感想文嫌いだった。読書は好きだったから尚更・・・今ならなんとでもなるんですけどね。よほど感受性の強い人でもなければ、小学生があれこれ考えながら本読んでるわけないだろうし、感想なんて面白かった、つまらなかったくらいしかでて来ないですよ」
多くの人たちから共感を得た投稿。文章を書く仕事に就いた今、どんな思いでつぶやいた? ジャジャ丸さんに聞きました。
「思ったことを書けばいいだけだ」と言われたので「何も思わない」と答えたら…
──今回学校で書いた作文の思い出を投稿しようと思ったのは。
「(Xの)タイムラインに『自分は作文が普通に書けたから、苦手意識を持っている子どもにどう教えたらいいか分からない、何がそんなにダメなんだろう』というつぶやきが流れてきたので、それに反応する形でつぶやきました」
──その思い出とは?
「授業中に1文字も書けず、『思ったことを書けばいいだけだ』と言われたので『何も思わない』と答えたところ、『こういうことを思ったでしょ?』と断定してそれをもとに書き始める形で指導されたので、子ども心に自分の考えをねじ曲げられたような感覚に気持ち悪さを覚えました」
「思ったことを書く」という投げっぱなしの指導はダメ!
──作家となった今や、ジャジャ丸さんから見た学校の作文の在り方について、ご意見を。
「作文は本来、自分の考えや感じたことを、他者に伝えるための文章力と言語化能力を鍛えるための課題であるはずなので、『思ったことを書く』という投げっぱなしの指導ではなく、作文の書き方を技術的な面からきちんと教えられる形になればいいなと思います。そうすれば、『何も感じなかった』という感想を『なぜ何も感じなかったのか』まで深掘りして、優等生的な感想以外でもきちんと作文を完成させられる子どもが増えるかなと。そうした感想が受け入れられるかはまた別ですが、そこまで書ける子どもがまずめったにいないと思いますので……」
──なるほど…。そんなジャジャ丸さんが、作家になろうと思ったのは?
「自分自身が興味を持てる本に出会い、そういったものを読み漁っているうちに、『自分もこうした本を書いてみたい』と思い、自分が本当に思うままの文章を書くことの楽しさに気付いたことがきっかけでしょうか」
自分が思うままの文章を書くことの楽しさに気付いて、作家の道を選んだというジャジャ丸さん。原作を務めた作品「転生した俺が可愛いすぎるので、愛されキャラを目指してがんばります」【作者:熱海シン(漫画))ジャジャ丸(原作))にわ田(キャラクター原案)】のコミック版が連載を開始したそうです。家庭崩壊した貴族の令嬢に転生した主人公が、持ち前の愛きょうで家族の絆を修復し、愛されキャラを目指して奮闘するストーリーです。
(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)