三重県在住のMさんは、2021年5月、親戚のガレージで生まれたばかりの子猫たちに出会いました。そのとき、子猫たちは生後10日ほどの4匹の子猫は母猫に見捨てられ、命の危機に直面していました。「信じられないほど小さくて、本当に可愛かった」とMさんは振り返ります。
しかし、その可愛らしさの裏には大きな不安もありました。獣医から「素人が育てるのは難しい」と言われたものの、家族と協力して4時間おきにミルクを与えながら、懸命にお世話を続けました。その努力が実り、4匹は無事に成長を遂げました。
当初、すべての子猫を里親に出すつもりだったMさん。しかし、毎日一緒に過ごすうちに、2匹の子猫とはどうしても離れがたくなり、結局そのまま家族に迎えることに決めました。その子たちが、チョビくん(男の子)とニケちゃん(女の子)です。
Mさんが初めて家に迎えた日のことを思い返すと、兄弟4匹はぴったりくっついて眠っていたそうです。その姿は、まるで不安や恐怖を乗り越え、お互いに支え合っているかのようでした。
2匹の名前には、ちょっとしたエピソードがあります。チョビくんは顔にあるひげ模様から「チョビ」と名付けられ、ニケちゃんは白黒の2毛色と、ギリシャ神話の勝利の女神ニケ像に由来して「ニケ」と名付けられました。
今やチョビくんは、体重9.9キロという堂々たる体格に成長し、ニケちゃんも6.5キロと立派な体を持っています。しかし、その大きな体とは裏腹に、2匹とも驚くほど優しくて怖がりだそう。チョビくんは、まだ一度も威嚇したことがなく、遊ぶときも決して爪を出さない温厚な性格です。家族に対してもいつも優しく、特に妹のニケちゃんを大事にしています。おなかを撫でられるのが大好きで、家族と穏やかな時間を過ごすのが彼の日常です。
一方、ニケちゃんは甘えん坊で寂しがり屋。Mさんが入浴中やトイレに行くと、必ず待っているほどです。そんな彼女も怖がりで、玄関のチャイムが鳴ると、チョビくんと一緒に猛ダッシュで隠れてしまいます。時にはテレビの中のチャイムの音にも騙されてしまうほど、警戒心が強い一面も。
Mさんにとって、チョビくんとニケちゃんはただのペットではなく、家族そのもの。「猫中心の生活になり、毎日猫のことばかり考えています。写真フォルダも猫の写真でいっぱいです」と笑いながら語るMさん。その愛情は2匹にもしっかりと伝わっており、彼らとの時間はかけがえのない日々となっています。
知人が引き取った他の2匹の子猫も、無事に新しい家族のもとで育ち、今ではみんな同じように大きく成長しています。Mさんのもとで育ったチョビくんとニケちゃんは、これからも家族と共に幸せな時間を積み重ねていくことでしょう。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)