SNS上でもよく見かける、外出時にマタニティマークをつけるか、つけないかという投稿。
ピジョン株式会社が妊婦さん・1才未満の子どもをもつ女性の中でマタニティマークをつけている人を対象に行った調査(※1)によると、「マタニティマークをつけない理由No.1は『嫌な目にあうというニュース・情報をみた』。なお、約3人に1人がマタニティマークをつけることを不安に思っている」との回答があったという結果に。そんな中、ある投稿がX(旧Twitter)にて話題となりました。
「満員電車で立ってたら倒れて遅延させてしまいました。ごめんなさい。マタニティマークつけてたおかげで、周りの方が壁となってくれてすぐにお腹の上に乗った私の荷物を下ろしたり体を起こしたりてくれました」
投稿主したみりんさん(@needcgt)も、「席を譲ってほしいとアピールしているように思われそうで、マタニティマークつけることに消極的だった」という一人ですが、つけていたおかげで助かったことを投稿し、多くの人が労りのコメントを寄せました。
「それは謝る必要ないっすな」
「マタニティマーク!絶対、付けて欲しいです」
「私も一人目の時倒れかけたことがあって。マークに対する小言も聞きますが、赤ちゃんのことを守ってくれますし、サラリーマン結構優しかったりしますよ」
「同じく私もマタニティマーク叩きが怖くてバッグの内側につけてましたが、妊娠中ずっと貧血が酷くて、そこから来る頭痛や吐き気めまいも日常的だったので、倒れた時の赤ちゃんのために、途中からマーク見える場所に変えました。つける意味はちゃんとありますよね」
「バス待ってる時に倒れて周りの人がビックリして救急車呼んで運ばれたことがある。当時はマタニティマークがない時代、今はあるからつけて無理したらあかんよって思う」
このように、多くの人がコメントを寄せました。当時の様子について、みりんさんにお話を伺いました。
実はマタニティマークをつけることに悩んでいた
ーー大変でしたね。当時の体調はどのような感じでしたか?
「初めはつわりの気持ち悪さのみでしたが、徐々に視界に白いモヤモヤがかかって、そこからは意識を失ってしまいました(おそらく長時間立っていたことによる脳貧血かと思われます)」
ーーそれは怖い! 今回はマタニティマークをつけていたことで、周りの方が妊娠していることに気づいてくれたんですね
「そうなんです。主人の勧めで、妊娠の届出を役所にする際、市役所でいただいた柄もないシンプルなものをつけていました。私としては、積極的につけたいと思っていなかったんです。なんだか席を譲って欲しいとアピールしてるようで……」
ーーそういう悩みを持つ妊婦さんは少なくないと聞きます
「きっと妊婦さんは、『みんなつけているのか?』『何週目からつける?』など、マタニティマークをつける前に一度検索してる気がします。私もまさに検索したのですが、検索候補に『マタニティマーク うざい』とか『マタニティマーク 嫌がらせ』とか出てきてギョッとしました。
実際に何かを言われたり嫌がらせをされたりしたことはないですが、その検索候補を見て以来、妊婦自体を狙って嫌がらせしたり、妊婦がマタニティマークを付けてること自体をよく思わない人間が電車の隣や向かいに座るかもしれない……と、つけることに躊躇してしまう気持ちはありました」
ーー実際に嫌な目にあった人もいるようですし、妊婦さんにすれば怖いことですね。でも今回のようにマタニティマークをつけいて、よかったことはありますか?
「私は嫌な思いをした経験はなく、どちらかというと電車で席を譲ってもらえたり、立ちくらみが起きた時に声をかけてもらうなど、配慮していただいたことの方が多かったです。それでもなんとなく、見ず知らずの方に気を遣わせることに抵抗があり、つけていても手で隠したり、座席の前に立つ時はなんとなくカバンの中に入れて見えないようにしていました。譲ってくださいって言ってるように思われるかなとかも考えてしまって……
でも今回意識を失って、『自分が妊婦であることを他者に伝えられない状態』になった時に、マタニティマークに気づいてくれた方の対応に助けられたので、マタニティマークは『譲ってくださいマーク』というわけではないんだなって、考えを改めさせられた気がします」
サポート目当てじゃありません!意識の違いを理解しよう
みりんさんは今回の件で、マタニティマークをつけることへの抵抗や意識が変化したそうです。本来は周りの理解を促すマークなわけですから、妊婦さんには安心してつけてもらいたいですね。
しかしながら、前述のピジョン株式会社が行った調査(※1 妊婦さん:20〜30代の妊娠中or1才未満の子どもがいる女性400名、一般の方:子どもがいない20~50代の男女200名を対象に2020年5月に実施)によると、マタニティマークをつけている一番の理由について「妊婦さんと一般の方の間に認識のズレが約50%存在」することが明らかになっています。
『つけている理由』を尋ねたところ、1位は「緊急のときに、自分が妊婦だということが周囲にわかるから(83.1%)」との回答がありました。
一方で一般の方の回答1位の「周囲の人にサポートをしてほしいから」に関して、妊婦さんの視点では上位にはランクインせず、一般の方の認識(80.0%)と妊婦さんの視点(29.4%)では約50%差がありました。
ただ、一般の方もマタニティマークについては肯定的で、約90%が妊婦さんをサポートしてあげたいと回答。『目立つところにつけてほしい』『ちゃんと身に着けてほしい』という意見が上位にあがっています。
ぜひ相互理解と認識が進み、安心できる環境が整うといいですね。
(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・東寺 月子)