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納豆のパック、捨てる前に洗ってる? 「ぬるぬるが気持ち悪い」洗わない派に…”納豆”プロが洗い方伝授、こんなに楽だったとは

まいどなニュース 2024年11月12日 6時55分

納豆のパックを捨てる前に洗うのか? 洗わないのか? 洗うならネバネバが気になるなど、SNS上では食べた後の片付け方法がしばしば話題となります。

洗わない派は、「燃えるゴミとして収集されるのでそのまま捨てる」「匂いが気になるので小さなナイロン袋に入れて口を結んで捨てる」と匂いを気にするかしないかは人それぞれ。

洗う派は、「食後のパックに少量のご飯を入れてかき回し、ネバネバをご飯にからめる」「シンクに置き、他の洗い物で降りかかる水や泡でネバネバを流す」「まずはお湯で流す」など様々な意見が。パックやお茶椀、お箸についたネバネバは取れにくく、スポンジもぬるぬるするのは気にしつつも対策しているようです。

栄養価が高く毎日食べることを習慣にしている人も多い納豆。今回は、納豆に関する様々な情報を発信している全国納豆協同組合連合会の広報担当さんに納豆のパックの捨て方や匂いにまつわるお話などを聞きました。

ネバネバを取るには「酸」と「熱」

――納豆のパックはどのように捨てるのが良いのでしょうか?

基本的にはお住まいの自治体の区分に従い、洗うなり、そのままなりで捨てていただけたらと思います。

――資源ゴミとして回収する自治体の場合は洗わないとダメということですよね。洗わない場合、匂いを抑える方法はありますか?

納豆菌が大豆のタンパク質や炭水化物を分解することにより、あの匂いや粘りを作り出します。納豆の匂いの主成分は「アルカリ性」ですので「酸性」に寄せてあげると匂いが中和されます。

例えばお酢やミカンの皮、レモンなどの柑橘類など、酸性のものを少しかけたり一緒に捨てると、匂いが抑えられる効果があると考えられます。

――なるほど!酸性のものを。

洗う際にも酸で分解できます。ちょっとお酢をかけておくとヌメリが取れやすくなったり、ミカンの皮で拭くとクエン酸の効果でぬるぬるが取れたりします。

もう1つ、きれいに洗えるのが「熱分解」です。50℃くらいのお湯を使えばスッと取れます。粘りの量が少なければ熱を加えることで分子構造が壊れます。

――お湯で流すのが効果的なのですね。

逆に常温の水だとネバネバの糸は水分子と吸着しやすいため、余計にぬめりが出やすくなります。ネバネバの糸の主成分は、ポリグルタミン酸(納豆菌がタンパク質を分解して作るアミノ酸の一種)とフラクトース(炭水化物由来の糖質)が微妙なバランスで不安定に結びつきあっている状態です。ここに水が入るとより安定させるために水分子を取り込む性質があり、さらにぬるぬると絡み、落ちにくくなるわけです。

――ネバネバにそんな仕組みが!面白いです。洗う時のネバネバが苦手だったのですが、今回教えていただいた方法で試してみます!

ネバネバは化学ですからね。とはいえ、熱い味噌汁やカレーライスに入れると粘りが取れるかというとそうではなく。そのため、あのコクや風味、濃厚さやヌルッとした食感を楽しむことができます。 

――SNS上では「納豆パックを洗った水を植物にあげると元気になった」といった方もいらっしゃるようです。

植物の生長のためには、三大栄養素(窒素・リン酸・カリウム)が必ず必要です。植物の土の中には様々な微生物が生きていて納豆菌も土壌の中にいます。ただし、その納豆菌は休眠状態で増殖するには45℃くらいの温度・タンパク質・炭水化物が必要です。

ですので、納豆菌が直接作用するというよりは、納豆菌が作ったネバネバ(ポリグルタミン酸・フラクトース)を、土の中の他の微生物が分解して、窒素(窒素化合物)を作りだし、一部の植物の生長の手助けをしている可能性は十分にあり得ます。

――ネバネバに「油モノがよく落ちる」「排水溝のヌメヌメがつきにくくなる」といった声もあります。

ネバネバ自体に、油を分解したりカビの発生を防ぐといった性質はないです。もしも効果があるとしたら納豆菌が作用しているのかもしれません。

納豆菌はかなり強い菌です。温度帯など様々な環境条件が揃っていて、エサとなる物質がそこに生息していればそういった効果があるかもしれないという可能性は否定できません。

――ちなみに、なぜ納豆はあの白いパックでの販売が主流なのでしょうか?

現在市販されている納豆のうち、約9割くらいが白い容器(PSP)です。ポリスチレンを発泡させて作られたあの容器は断熱効果もあり、保温保湿が可能で、熱がこもりすぎず均一に届くよう底が波打っています。その上、軽く、積載面においても輸送面においてもかなりエコ。皆さんの食卓に美味しい納豆を運ぶ容器であり、納豆を発酵させる最適なツールです。

◇     ◇

お話を聞いて、酸や熱で納豆のネバネバの性質が変化し、そのすべてが化学反応に基づいていることがわかりました。洗った水の二次利用の効果についても興味深いです。また、何気なく手に取っている店頭のパックには、温度や湿度の変化に敏感な納豆の美味しさを最大限引き出す工夫が施されているのですね。

そして早速筆者も納豆のパックを洗ってみました。
①ミカンの皮でこする→ネバネバはあまり変化なし、もっと量や皮の水分量が必要だったかも
②お酢を数滴垂らして1分ほど放置→湯で流すとすぐにキレイに
③ネバネバを触らず37℃の湯で流し続ける→10秒くらいでキレイに
といった結果に。皿洗いのついでに簡単にできるのは、個人的には③でした。

今回お話を聞いた全国納豆協同組合連合会のホームページには、「納豆ができるまで」「納豆MOVIE」「納豆百科事典」「季節のお手軽納豆メニュー」などのコンテンツが盛りだくさん。納豆菌の全成長過程の撮影に成功した動画『なっとう いのちの力』など魅力満載の映像を楽しめます。

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・太田 真弓)

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