突然、子馬がやって来た—。
島根県益田市高津3丁目の「さんさん牧場」で9月23日、雌の子馬が誕生した。産んだのは2月に牧場に来た7歳の牝馬・ジョアで、施設は妊娠に気付いていなかったという。夜間の見回りで生まれたばかりの赤ちゃんを発見。対応に追われたが、今では愛くるしい姿で施設のアイドルになっている。
9月23日午後10時前、当直の石山元春さん(39)が厩舎を見回ると、ジョアの傍らに動物がいるのに気が付いた。
当初は馬ではない何か別の動物かと思ったが、よく見るとジョアの後ろ足に血の跡があり、出産していたと分かった。すぐに獣医師や他の職員に知らせ、母子の健康状態を確認。異常はなかった。石山さんは「ただただびっくりした」と振り返る。
社会医療法人正光会が運営するさんさん牧場は2019年2月開園。引退馬支援として、乗馬体験やホースセラピーに取り組む。ジョアは11頭目として今年2月に栃木県からやって来たばかり。9月ごろの乗馬体験デビューに向けて調教中だった。
馬は通常、11カ月の妊娠を経て出産する。ジョアは牧場に来る前に妊娠したとみられ、担当者は太ってきたため餌の量を減らそうと考えていた矢先だった。初産ながら、幸い、手助けなく産む安産だった。
赤ちゃんはジョアとともに馬房横の放牧場で過ごす。母に似た白と茶色の毛並みで体高90cm、体重30kg。時折元気に駆け回ったり、地面に寝転んだりして、愛らしい姿を見せる。
訪れた中学生は「馬の赤ちゃんは初めて見た。意外と大きいけど、かわいい」とほほ笑んだ。
しばらくはスペースの広い放牧場で親子で過ごすため、いつでも見学できる。近くに来れば触ることも可能だという。大賀満成施設長(59)は「驚いたが、職員も親子の姿にほっこりしている。施設にとって初めての誕生なので、健康に育つように全力を挙げたい」と話した。
(まいどなニュース/山陰中央新報)