9月27日から公開されている「ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ」。映画レビュー投稿サービスFilmarksで驚異の星4.4を記録するなど大きな話題となっている。
団体行動が苦手、ジムに入会しても続かない、美容師との会話が続かない…日常の面倒くささと闘いながら共同生活を送る、殺し屋コンビが主役の本シリーズ。2021年に初作「ベイビーわるきゅーれ」が公開されるとSNSや口コミで人気が爆発。単館映画館での上映から、シネコンへと拡大し、ロングヒットを記録した。2023年に続編「ベイビーわるきゅーれ2 ベイビー」、そしてシリーズ三作目の本作と、回を重ねるごとに人気は高まる一方だ。観客に愛される理由とは?阪元裕吾監督に話を聞いた。
――愛される理由は?
阪元:今はヒットした映画もあっという間に忘れられてしまいます。早送りで観たり、消費スピードも早い。ですが2010年代に公開された作品、「パシフィック・リム」や「マッドマックス怒りのデス・ロード」などは語り続けてる人が多かった。もっと生活に根付く作品を撮らなければ、と思いました。
今作はなるべく余白を残して、観た後も勝手に楽しんでもらえる作品にしたいと思いました。本作も、主役二人が宮崎で遊んだ後から物語は始まります。二人はどんな宮崎旅行をしたのか、想像して語り合って楽しんでいただきたいです。
――本作の特徴は?
阪元:本作のまひろは、かなり少年漫画みたいなキャラクター。ちさとはそれを支える。観客がちさとに感情移入できるように作りました。是非劇場に足をお運びいただき、ドラ泣きならぬ、ちさ泣きをしていただきたいです。
――シリーズのヒットで、阪元監督の生活の変化は?
阪元:初回作が公開された頃は家賃5万のボロボロの家に住んでたんです。誰でも鍵が開けられて、服も湿気で全部やられてしまう地獄の部屋(笑)。その印象が強くて、公開映画館の数がどんどん増えても「のし上がってる!」みたいな感覚は全くなかったです。「ベイビーわるきゅーれ2」からやっと、普通の会社員がもらえるようなお金がもらえるようになりました。つい最近のことです(笑)。
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SNSでは「面白すぎて映画館前から動く気にならん」「主役二人のやりとりがかわいくてたまらない」「この映画に会えて、生きててよかった」などの反響が日々投稿されている。「とりあえずもう一回観る」「本日2回目」などリピーターも印象的。庶民派の映画監督だからこそ撮れる、観客と地続きの生活感と日常の悩み。気づいたら殺し屋の世界に没入してしまう本作、是非映画館に足を運んでいただきたい。
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(まいどなニュース特約・ゆきほ)